2020年10月22日木曜日

NVMe M.2 SSDに換装!爆速に

 SSDで速くなったと喜んでたけど、世の中には既にNVMeSSDというものがあり、これのread writeの速さはSSDの4-5倍になるという話を知って深く恥じ入り、システムドライブをNVMe 接続のM.2 SSDに置き換える事にしました。私のメインPCのどのSSDも8-9割くらいになりつつあり、そろそろ追加が必要になってきたのでちょうどいいと。

買ったのWesternDigital のBlue SN550 PC M.2-2280、皆さん買ってるのでこれなら安心だろうと。ただ、ネットを見ると、サイズがSSDよりもかなり小さい分、放熱が必要で、ヒートシンクつきのもあってこれをやらないと70度近くになったという話をよく目にします。またHDからSSDの換装に比べてうまく行かないことも多い、という記事も多い。

加えて、ちょっとややこしいのは、システムドライブが1Tで、さすがにそんなにシステムはくわないので半分をpartitionして別のデータストレージにしてたこと。だけど、システムもいちいち整理しないと空きスペースが減る一方。そこで拡張しようと、Windowsのコンピュータの管理>ディスクの管理、を右クリックで見ると、縮小はできるけど拡張はできなくなってます。システムドライブだけをNVMe SSDに換装したいのだけどそんなのができるのか。

ネットで調べると、この換装はアプリを使えば簡単という話。だけど、複数のドライブが入ってるストレージからCドライブだけをコピーするのは、有料版の機能。こういうときに使うのはEaseUS todo Backup ですが、これで無償でできるのは

のクローン、バックアップ機能くらい。なのでとりあえずNVMeをASUS Z270AのM.2のところに刺して、CドライブとデータドライブのはいってるストレージをNVMe SSDにクローンしました。中身は500Gくらいでしたが、30分くらいで完了。かなり速い。

そこでシステムドライブの入ってるSSDを外して、NVMe SSDだけで起動したところ、checking deviceとでてその下に、
PXE over IPv4
という表示が出てしばらくそのまま、ダメかと思ったらしばらくするとWindowsが起動してきました。どうやら正しくクローンはできてるらしい。ただ、このIPv4なんとかは意味あることで、あとでわかりました。

次にこのNVMe SSDのデータドライブの部分をカットしてシステムドライブをこの部分まで拡張したい。これにはEaseUs Partition Masterをつかえばフリーでできるということがわかりやってみたところ、確かにあっさり完了しました。しかし、旧システムドライブの入ってたSSDを、これで混乱しないのかなあとさしておそるおそる再起動したところ、案の定、起動しません。。。

このあたりからよくわからなくなり、幾度も再起動させてダメ、の繰り返し。これではだめだとNVMe を外して、システムの入ってるSSDだけで立ち上げようとしたところ、なぜかこれすらダメ。おかしい。

だけどこんなのでマザボASUS Z270-Aが壊れるわけもなし、ならば、とBIOSの設定にはいり、起動のところを見ると、なんとSSDが起動ディスクとして出てきません。なんだといろいろ調べると、どうやら起動の下にあるCSMという、認識するデバイスのタイプのドライバーを選んでる機能と関係することがわかりました。CSMなんて知らなかった。これはレガシーとUEFIのいずれかをあらかじめ選ぶ機能で、これによって安定化するとかBIOSの説明にあります。この辺、よく知らないのですが、SSDはフォーマットのときにGPTではなく保守的にMBRを選んでました。これはレガシーになるのかな?だけどCSMのストレージデバイスを見るとなぜかUEFIになってます。それとも再起動を繰り返してたときにCSMの設定を変えたのか?ともかくこれをレガシーに戻すと今度は元通りのSSDから起動しました。

ならばと、NVMeもMBRでイニシャライズしたので、ならばとPCIデバイスの設定をレガシーにしてみると、これも起動せず、
BOOTMGR is missing
との表示。ではと、UEFIにしてみたけど同じくだめ。だけど、このとき、NVMeデバイスは起動ディスクの選択肢に出ています。こういうとき、ネットの価格コムの口コミのを見ると、これはクローンに失敗してるからやり直しとあり、仕方なくやりなおそうとEaseUS Backupでクローンのstartボタンを押してこのアプリがしばらく準備を始めたところ、ふと、Windowsのコンピュータの管理>ディスクの管理のところをみると、このSSDの
の左端の86Mの小さな領域、システムの立ち上げに関わる部分が、アクティブ、になってないことに気がつきました。system (C)のほうはアクティブにして起動するようにはしてましたが、ここはやってなかった。これがないと起動ドライブには使えません。

ひょっとして、とあわててクローンを中止し、幸いキャンセルできてもとどおりになったので、この86Mの領域を右クリックでアクティブにして、これで再起動しました。

何とこれであっさり立ち上がり、この状態で、旧システムの入ってたSSDも自動的に別のドライブの名前がアサインされて混乱しないようになってます。これだったのか。有料版のEaseUSのシステムの移行というのは、このアクティブの設定をするだけなのかもしれない。ま、ソフトなんてそんなものです。

つまり、正しいCSMの設定は私の場合、
CSM  UEFI/レガシーOPROM
ネット (UEFIドライバにしたがこれは使わないから関係ないはず)
ストレージデバイス レガシー only
PCI    UEFI only
でした。NVMeはPCIに刺してることになると思いますが、MBRでフォーマットしたもののここはUEFIでいいらしい。またストレージデバイスも普通は起動に使うわけでないからレガシーかどうかは関係ないかもしれません。ともかくこれで動きます。

ともかくこれで換装は完了。体感は相当速くなりました。特にPRINCIPLES OF FLUORESCENCE SPECTROSCOPY や細胞の分子生物学のような1000ページ近い大きな本を開くときでも以前ならページを速くめくると表示が追いつかず数秒間は空白になってましたが、それがなくなり、物理本のようにパラパラめくりができるようになったのは感動的です。パワポも500ページを超えてくると表示が結構遅れますが、そういう遅延もほぼ消滅しました。これは大きな違いです。

CrystalDiskInfoで読み込み書き込み速度を調べると、SSDにくらべて連続読み書きではおおむね4倍速くなってるのがわかります。

ハードディスク時代に比べると一桁アップです。なお、温度はWDのDashboardでみると少なくとも普通に使ってるときは36度の平熱で安定。CrystalDiskInfoで読み書きテストしてるときでも最大51度と余裕で終わるとすぐに平熱に戻ります。フォルダ移動のために300Gくらい連続読み書きしても最高で55度どまりで、なにもつけてなくても放熱にはあまり問題ない模様。

あとはNVMe SSDのマザボへの固定が心許ないので、固定ネジをアマゾンで見繕ってASUS対応のが見つかり早速購入しました。備忘録でした。たいして期待してませんでしたが、すごい進化。

追記
ASUS用のネジ「マザーボードM.2ソケット用ネジセット SST-CA03」がアマゾンから到着。必要なのはネジ一つだけど、1500円近くしました。ともかく、これは完璧にフィットして、完成。こんな具合になりました。

ASUSの文字の下、中央の青い板がついてるのが今回買ったNVMe SSD。右側にソケットがあってそこにさしてます。ネジは左側ので、少しボードから浮くようになってます。ストレージ本体はネジの右手の黒い2センチ四方くらいのチップと思います。これに1T。まさに人類の進歩。

2020年10月17日土曜日

欧米で感染者が急増

 福島では郡山を中心に、感染者数がこれまでにない数値を出してきています。行動追跡によると駅前に集中しているとの発表。福島では一番の賑わいのところで、東京から列車一本で80分で着くところなので、これまで増えてなかったことの方が不思議ではあります。県庁のある福島市では昨日は一人でたものの、このところ、ほとんど報告されてません。駅前の賑わいの差なのかと、福島市の住民としては微妙ですが。

東京はほとんど減ることもないまま、次第に増加する兆しが出ているように見えます。ただそれでもヨーロッパに比べるとずっと少ないレベルであるのは確か。今日の感染者数とその過去3週間のデータをour world in dataから抜き出したものがこちら。


北米の2つ、米国はトランプなのでしかたないにしても、一時期500人も切っていたカナダでも増えてきています。ヨーロッパ各国は軒並み激しい増加で、4週間の夜間外出禁止令が出たフランスを筆頭に、英国でも数万のオーダーで連日増えてきています。ポーランド、チェコなど東欧でも人口比で行くと高い感染者数になっています。また、スイスでは陽性者数0の日さえついこの前までありましたが、この数日では2000人を超えてます。

北欧をみてみると、スウェーデンでは昨日は970人で、この急増具合から行くと、今日にも1000人を久しぶりに超えそうです。ここも爆発しそうな勢い。下のグラフでは数字が今の時刻の数字なのでわかりにくいですが、各週の平均値で見ると、ノルウェーではこの3週間では、大体、100、200、200人、フィンランドではちょっとばらつきますがおおよそ100、200、200名くらいでしょうか。

人口はスウェーデンが1000万くらい、ノルウェーとフィンランドが500万くらいと倍くらいしか違わないのに、総感染者数は圧倒的にスウェーデンのほうが多く、また死者数も多いのは、よく言われるようにマスクを意地でもしてないことが大きいのかな。スウェーデンでもレストランは日本とは違ったモードで結構厳しく規制してますが、マスクだけは効果ないという判断に固執してます。一度言い出すとメンツでとり下げられないのはわかりますが、人の命に関わるわけで、あとで責任が問われそうです。全体として、ヨーロッパではこのようなノルウェー、フィンランドにくわえて女性首相ががんばってるデンマークの健闘が目立ちます。

それにしてもこの要因は何なのだろう?10月に増えるというのは予測されてなかったと思います。それとも、9月にvacationから戻ってきてそこで増えていたものが一気に広がったということでしょうか?

新型コロナによりこれまでに米国では既に国民の0.1%を超える人々が新型コロナのために命を落としています。やはりアビガン、レムデシベルは微妙なようで、手軽に使えて有効な薬の試験結果が待たれます。WHOはレムデシベルは効かない、と結論しましたが、やはり。それでもレムデシベルでしっかり儲けたギリヤドとトランプの勝ち。

ほかの薬に関する臨床試験結果もそろそろ出てくる頃です。感染者数が激増してるので、これからどんどん結果も出てくるでしょう。それにしても犠牲を伴わねば結果が確定できないというのは厳しいところですが。長期的にはワクチンがいいのかもしれませんが、この数年で考えると、特効薬とはいかなくても開業医で出せるような薬が出てくることしか、現実的な解決策はないような気もします。

2020年10月9日金曜日

レビー小体型認知症治療薬、Ph2へ

 認知症の中でも最も厳しく治療薬のないのがレビー小体型認知症。私の父はこの病にかかって5年の闘病の末亡くなりました。本人がその病の進行を自覚でき、治療もないことがわかっているので、とても残酷な病気です。子供らは好き勝手に遠くにいるので、お袋が一人で看病をがんばって続けましたが、日々、壮絶さを増し、最後の1年間は施設になりました。高齢とはいえ、本人も周りも辛いものがありました。

レビー小体型認知症は主にαシヌクレインが凝集して大脳で蓄積して起きるとされてます。脳幹で起きればパーキンソンです。アルツハイマー型はアミロイドβとタウの蓄積によるとされてます。かなり対症療法的ではありますが、パーキンソン病に対する治療法は大分進歩して、30代でこの病にかかったマイケルJフォックスは、積極的に治療に取り組んだ結果、俳優として再度スクリーンに登場できるまでになりました。アルツハイマー病に対する抗体治療薬のことは前に書きました。

レビー小体型認知症はこれに対して、治療らしい治療がありません。医者もこれになるとあきらめます。父親の場合、本人の前で、治療法がなく悪くなる一方であることを散々云って、落ち込ませてしまい、ひどい医者だとお袋が怒ってました。私も医学教育に携わる人間として、こんな医師を世に出してはならないとは思います。ただ、それが医学のコンセンサスであることは否定はできません。

直りはしないまでも、治療法はあって欲しいと願います。ここで、ようやく新しい薬の可能性が出てきました。neflamapimod(ネフラマピモド)という飲み薬が米国で第二相の臨床試験において、主要目標の認知機能改善において効果が認められたそうです。こちら。

https://www.prnewswire.com/news-releases/eip-pharma-announces-positive-phase-2-results-for-neflamapimod-in-mild-to-moderate-dementia-with-lewy-bodies-dlb-301146415.html

この薬は、p38αというタンパクリン酸化酵素の阻害薬です。最近わかってきたことは、この酵素が、ストレスなどで炎症を起こしたときにシナプスで増え、それがさらに炎症を起こして神経細胞を破壊するらしいということです。ならばこれを抑えればいいだろうというわけで出てきたのがこの阻害剤。

細胞レベルでの試験では、アルツハイマーで損傷することがわかっているエンドサイトーシスの機能を正常に戻す作用があることが示されてるそうです(この論文は発見できず)。そこで、これをアルツハイマーの患者7名(125mg)と9名(40mg)で試したところがこちら。


上が短期記憶、下がエピソード記憶。12週間のテストです。記憶のテストで明らかに量に応じて改善が見られてます。ただし、認知力には変化は見られなかたそうです。この結果、数が少ないことと、なぜbase laneのところで投与群に差があるのか、わかりませんが。

これはアルツハイマーの結果ですが、レビー小体型認知症の治験でも、有効であるという判定がついたという発表が、詳しくは11月の13th Clinical Trials in Alzheimer's Diseaseで発表されるそうです。期待が持てそう。ただ、p38αはシナプスに限らず全身に出ていて、いろんな信号の伝達に関わる酵素なので、長期的に飲んでも大丈夫なのか、気になるところではあります。この試験期間ではとくに副作用は見つからないとのことでしたが。