長らく海外から物品を公私を問わず購入してきました。トラブルらしいトラブルといえば、英国のAbbexa Ltdという抗体メーカーからウサギ抗体を買おうとしたときに税関で動物由来のものだろうと輸入許可が下りず廃棄になったことぐらい。Abbexaの対応には腹立ちましたが、まあこれは抗体購入、特にウサギよりも大きな動物で作られた抗体につきもののトラブルではあります。これ以外、たとえば最近増えてきた中国からの購入では、大抵はAliexpressかAlibaba.comを経由して買うので、まず問題は起こりません。
そんなので油断してたのか、びっくりするような変なところにぶつかりました。買おうとしてたのは、保済丸 / ポーチャイピルPo Chai Pills という、香港で有名な生薬の胃薬。 Wikiにも英語版があります。食べ過ぎが続いて胃が疲れてきたりしたときに、この仁丹のような粒のつまった小さな一瓶を飲むと、そのときは爽快感などはないのですが、不思議と気がついたら回復させてくれます。大正漢方胃腸薬よりもずっと確実。
これはずっと昔、モントリオールでポスドクしていた頃に私の後任に来てくれた中国人が教えてくれたものです。彼はお母さんが病気がちだったそうで、少年時代には山を歩いて薬草を探したとかで、生薬のことにとても詳しい。以来、この薬は学会で海外に行くたびくらいに買ってましたが、このところ全然海外に行ってないので、さすがに在庫が尽きてきました。
北米のChina townで買うと10瓶入った一箱が3ドルくらいで買えますが、楽天やアマゾンだと1000円くらい。ばからしいなあとあちこち見てると、それより4割くらい安いところがありました。こちら。http://pochaipills.50webs.com/
本場香港のショップ。ここの正式な名称はFengshui Shop 、つまり風水店という、いかにもな名前のとこらしいけど、サイトにはたぶんどこにもでてません。何の疑いも持たずに購入手続きに入ってみようとクリックしたところ、購入確認もなしに、いきなりPaypalからの支払い完了通知が出ました。まあ、買うつもりだったので良いかとそのままにしてたところ、すぐにメールが来て、日本語も英語もありましたが、日本語はこんな風。
「こんにちは! ありがとうございます!私達はすでにあなたの注文書を受け取りました!
とあって、よかったと思ったら、
「加えて、2020年7月28日以降、ウェブサイトの限定的なサービスが提供されることをお知らせいたします。 ただし、注文はまだ倉庫に残っています。 この問題に取り組むための2つのオプションがあります。
1. 航空便が再開された場合は、2020年11月30日に航空便で郵送してください。
2. Paypalからのリクエストに応じて全額払い戻しを行います。 ご不便をおかけして申し訳ありません。 健康で良い一日を。」
とあって、どうも、何らかの理由で今は発送できないらしい、香港だから、政治的なトラブルかなあと同情して、まあ、だけどキャンセルするしかないかと思い、refundを選択します、と英語で連絡したところ、
「Thank you for your support and consideration.
Full refund will be issued upon your request through PayPal.
Stay safe and have a good day.」
ときました。おかしいなあと思いつつも、PayPalに行ったところ、これがとってもわかりにくく、メッセージセンターのchatに日本語で書いたものの返事が来ない。ここはchatではなくメール代わりのものらしい。そういえば、以前もPayPalは英語でないと対応しなかったことを思い出して、英語で書いたら今度は翌朝に返事が来ていて、refundするなんてsellerがクリックするだけなんだけど、というやる気のない返事。
なんだか、面倒なことになりそうだと、金額が少ないから大したことではないもののとは思いつつもいやな感じがして、このshopにその旨をメールすると、今度は
「Thank you so much for your email.
Yes, please kindly file a dispute. We will then issue a full refund upon request.
Thanks again for your support and cooperation. Enjoy your day.」
とすぐに返事が来ました。PayPalからの意義申したてがこないとrefundしない、つまり自分からはrefundしないということ。
こりゃだめだとメッセージセンターで再度報告して聞いたところ、今度は問題解決センターから「クレームにエスカレート」するようにという連絡が来てました。ではとPayPalの問題解決センターに入って大分あちこち行きつ戻りつして、ようやく見つけたページで、これまでのメールのやりとりを添付して、これまでのやりとりを説明して、ここは妙だ、ということをPayPalに伝えたつもりでした。
ところが、このときどこをどう見落としたのか、shopの方への連絡を選択していたようで、このクレームがそのままshopに送られてしまいました。ま、そのまま書いただけなのでたいしたことないけど、これではらちあかんと、メッセージセンターに書いたものの、返信なし。
どうもここはだめらしいと、ちょうどここで月曜になったので、電話が使えるはずと思い出して、電話したところ、割とすぐにつながり、担当のChineseの人に説明しました。この件、どうもすでに手続きがされていたようで、これは異議対象になっていて、shopはrefundには応じたのだけど、送られてきた金額が少なくて、PayPalとしてはfull refundを要求しているところで、進展については連絡し、full refundするからあとは何もしなくていい、とのこと。ほっとしました。
その後2時間くらいで、shopが責任を認めてfull refundに応じた、というPayPalの通知が来て、無事解決しました。PayPalとのやりとりは電話してからはとってもスムーズでした。ただ電話以外は全部英語で、日本語は、少なくともかなり時間がかかりそう。これでは英語が苦手な人はPayPalはやめたほうがよいかもしれません。
この香港のショップ、サイトをよく見ると、怪しさ満載なのです。そもそもメールのアドレスがgmail。ショップの名前もわからない。PayPal払いを前面に出していて、だから大丈夫といってるけど、そもそもそこが怪しい。このサイトを今見ると、確かに、11月30日まで発送できないと書いてあります。これは私が見たときにあったのかどうか。あればさすがに気がつくだろうとは思ったものの、いずれにしても購入の時点で警告するべきこと。
このサイト、素人の作りで、おそらくネットで保済丸を検索した人を引っかけるためのものでしょう。日本人だと、PayPalに紛争を依頼するようにと言われてもメッセージセンターでは日本語ではまずレスポンスがこないし、disputeしろといわれても泣き寝入りする人が多いでしょう。それを狙ってるのかな。さっさと電話すればいいのだけど、Paypalのサイトをまじめに見てるとその選択がなかなか出てきません。それにいかにもつながりにくそうだし。
サイトをよく見るべきでした。PayPalのおかげで解決できましたが、Paypalは審査はしてないのかな。ここは海外に行って保済丸を知ってネットで買おうと思った日本人が引っかかってそう。それとも私だけ?