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2020年12月29日火曜日

カモスタットが新型コロナに有効だった報告2例

 まったくニュースにもならないですが、先に書いた、カモスタットが新型コロナのICUでの治療において有効だったという報告が2つ見つかりました。いずれも数は少ないですが。カモスタットは、飲み薬でウイルスの細胞への侵入を防ぎます。膵臓炎や逆流性食道炎の薬で長く使われており、安全性が高いものです。タンパク質分解酵素阻害薬です。

ひとつはドイツの名門、ゲッティンゲン大学のICUからのものでこちら

https://journals.lww.com/ccejournal/Fulltext/2020/11000/Camostat_Mesylate_May_Reduce_Severity_of.16.aspx

3月から5月の間にICUに来た新型コロナ患者11名に対して治療を行った結果です。対象はヒドロキシクロロキン(HQ)で、これは何の効果もないことがわかってるので、無処置に相当するとしています。実際に、HQで処理した群では8日間で、ほぼ変化ありません。臓器不全の指標で見た場合のデータがこちら。

左がカモスタットで、右がHQ。カモスタットは6人のデータですが、4人が大きく下がって改善しており、2名は増えていて悪くなってるようです。HQではほぼ5名いずれも8日後でも同じようです。このほか、全般的に炎症の数値を下げているといってます。ただこちらは幅が大きく、示されたデータではよくわかりませんが。

もう一つは韓国からの報告。
https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.12.10.20240689v1
ソウルメディカルセンターに8月1日から9月20日に新型コロナ陽性になった患者について、Foistar (カモスタット、7名)とカレトラ(11名)投与群の2つに分けて、その結果をまとめたものです。カレトラは当初は効果が期待されましたが、結局、臨床効果はないという判定になっているので、こちらが結果的に非投与群とみなしていいかと思います。
ここではCRPという、健康診断でも使われる炎症の指標を用いています。おおまかな重症度の目安です。入院前と7日後の結果がこちら。

わかりにくいのですが、下2行が、高かったCRPの数値が下がったか、上がったままか、の人数を示していて、Foistarでは7名中6名が正常値になり、カレトラでは20名中11名が正常値になり、7名は上がったままということです。nが少ないのですが、Foistarのほうが6/7で86%、カレトラは11/20で55%となり、Foistarが効いてるらしい、という結果です。

いずれも数がかなり少ないのですが、比較対象はしっかりできるので信頼おける感じはします。世界中で進められる治験ですがなかなか結果が出てこないのは、今となってはカモスタット単独となにも処理しない、という群を作ることが難しいからです。後者は倫理的に許されません。なので、このように結果的に効果がないとされた群との比較しかなく、なかなか数がとれないようです。

これらの結果からすると、カモスタットはものすごくよく効くわけでもないけど、理論的に効くはずだ、ということが実際の患者においてもある程度は確認できるように思います。ただ、この薬、理論的には早期に最も効果があるはずで、中等度以降の免疫暴走による症状には効果ないはず。本来は早期に比較試験が行われれば一番良いのですが、それは難しいのかな。日本では、臨床の現場ではカモスタットよりも点滴で使うナファモスタットのほうが使われてるようです。それはともかくとして、一般人に何ができるかと考えると、投与にある程度の注意が必要とはいえ、カモスタットでは副作用がほぼたいしたことがないことから、感染リスクの高い仕事で、熱が出てきたらとりあえず飲んどくというのはありかもしれません。
ただ、その結果、直ってしまって隔離されず感染を広げるということになりかねないのかどうか、は難しい問題です。

2020年12月22日火曜日

新型コロナのスパイク蛋白の変異N501Y 追記

 英国でも猛威を振るっている新型コロナで新たにスパイク蛋白S1のN501Yの変異が見つかり、これが感染拡大と相関があるらしいと緊張が走っています。英国からの移動制限がEU等各国ではじまりました。

COVID19ウイルスもほかのRNAウイルスと同じで変異は絶えず発生してます、凶悪なものに変化することも希にあるでしょうが、ほとんどの変異は何にも変化なく、どちらかというと、消えたり、弱毒化する方向に向かいます。先に報告されたスパイク蛋白D614Gの変異では重症化は起こさないものの感染力が増すことが示されました。実験的に証明されたわけではないですが、このN501Yも細胞への結合を増して感染力の増強に関わるのかもしれません。

このS1蛋白は新型コロナが引き起こす妙な症状と関係するのかもしれません。S1がウイルスから剥がれて体内を回ることは知られていますが、これが血液脳関門もなぜか通過することがマウスの実験で報告され、海馬や嗅覚に入って炎症を起こすことが示されました。こちら。

https://www.nature.com/articles/s41593-020-00771-8

脳だけでなく、腎臓、肝臓にも影響するようなのでやっかいです。今回の変異がこのような作用を増強しないことを願うばかりです。おそらくこのウイルスの高い致死率はこういうウイルス蛋白自体の毒性も関係してるのでしょう。

米国退役軍人のデータでは、新型コロナはインフルエンザの5倍くらい致死率が高いことが報告されました。こちらが原報

https://www.bmj.com/content/371/bmj.m4677

ニュースはこれ

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-12/wuis-cpa121520.php

ところで、先に書いた、オーストリアで鼻吸入型が感染予防の治験になってるカラギナンは、結局、以下のような組成で作って、喉スプレーにしてます。カラギナンは、湯煎で溶かす必要がありますが、それさえやればさくっと溶けます。お菓子作りと同じ。安全性の高いプロピオン酸ナトリウムを雑菌増殖防止に使い、ただ、これだけでは何の味もなくてまずいので、楽天で買ったミントの結晶をざくっと入れました。結晶はほとんど溶けないので、スプレー容器に残ってます。ミント、メントールにも抗菌作用があり、もともと炎症を抑えるものとして古来から使われてきたものですが、何よりも味が格段によくなりました。

イオタ-カラギナン 0.2 g/100 mL 

プロピオン酸ナトリウム 0.5 g/100 mL 

ミント結晶(適当)

あまり大量に入れておかないで、残りは冷凍して、雑菌が増えないようにしてます。滅菌などしてないので、ほんとにこの組成で雑菌が増えないか菌を入れて試してみたところ、大腸菌はほぼ増えず、持ち歩いてもいいかな。ただ、これがほんとに新型コロナの予防になるのかはわかりませんが、炎症を抑える作用はあるはず。前線での防御は大事です。誰か、これいる?

追記

このN501Yの変異は特に新しいものではなく、9月から報告されてました。ほんとに感染力が高まってるのかは、どこにもデータがなく、ジョンソンさんがいってるだけ、ということもないでしょうが、何ともわかりません。その割に世界中に規制が強化されて、日本でも英国からの入国が制限されるようになったようですが。

さらに追記

インフルエンザの5倍の致死率というのを間違って5%にしてしまってました。ひどい間違いです。ごめんなさい。5%ならいいのだけど。ところで、4月に有効ではないかという報道のあった吸入剤オルベスコ、残念ながら臨床試験の結果、新型コロナには効果ないそうです。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2020122300862&g=soc

がっかり。折角入手しておいたのに。ただ、どうも効かないらしいというのは、うちの呼吸器の医師もいってましたが、やっぱり。この試験は数が少ないのですが、少なくともあんまり効くものではないことはわかります。

もっと追記

この変異が急速に拡大し、日本にも入ってきてるということがあきらかになり、新規入国禁止措置がとりあえず1月末まで急遽取られることになりました。極めて深刻な事態です。英国では新規感染の6割がこのN501Yだそうで、これがロックダウンしている英国での急増の要因でしょうか。この数値からすると、これを止めるのは相当難しい。各国において再び外出禁止するありません。それにしても、こんな中で、飲み会開いてる人間がいる事が信じられない。まったくひどい正常性バイアス。学ばない人間はいつでもいて、感染は彼らの無知が拍車をかけます。

もっともっと追記

スパイク蛋白のN501Yの変異とはいっても、この変異体には他にも変異が沢山含まれていて、69-70の欠失、144の欠失、N501Y、A570D、P681H、T716I、S982A、D1118H を持つものが、問題視されているそうです。N501Yだけならば、既に出てたので、なぜ今頃と思ってましたが。

2020年12月19日土曜日

本命登場

 塩野義が新型コロナの蛋白を用いたワクチンの1/2相試験を開始しました。蛋白生産は時間がかかるので、これは仕方ありません。十分早いと思います。米国ではノバドックス社がすでに3相試験は英国で行われていて、塩野義の先にいってますが、自分の国では、なぜか製造体制の確立に時間がかかっているとかで、これから3相試験の申請だそうです。英国の方で先に結果が公表されるようです。

蛋白をワクチンとして用いるための技術は、これまで十分に長い時間をかけて検証され、安全性について確立しています。ワクチンなので、一定の副作用は必ず起こりますが、長期的な副作用はないはずで、抗体がちゃんとできて長く作用する事が確認さえできれば、安心して打てます。但し、普通は数年かけて試験を行います。ただ、蛋白ワクチンの副作用はほぼ急性で、長期的な、たとえばガンになるリスクの増加などは、まず考えられないので、3相の試験までやれば、だいたいはOKなはず。

塩野義はこれから試験を1年くらいかけて行います。来年末には使えるようになるのではと期待されます。ノバドックス社のが日本で使えるのか、わかりません。政府は買ってないのじゃないかな。

こういうのができてきてるので、そろそろRNAワクチンは却下してもいいのではという気もします。この数ヶ月間のラグを待てるかどうか。既に、どの戦争よりも被害者が多くなっている悲惨な米国の情況では、待てないとは思います。RNA自体、リポソームを用いる技術、いずれも、不確定の要素が多いのが心配です。とはいっても、それほどひどい副作用はおきないのではないかとは思いますが。感染リスクとどちらが高いのか、慎重な、難しい判断が必要となります。ともかく私は来年末まで塩野義(か他社の蛋白ワクチン)のを待つつもりです。

2020年12月12日土曜日

何をいっても無駄だと

何をいっても無駄だというあきらめ、そんな無力感、最初からのあきらめ。これが特に日本の若い人たちの間で広がってるような感じがします。子供でもわかるような明らかな矛盾があるのに、都合の悪いことは認めない、一般人はできなくても、それができる権限があるならば、堂々とやってしまう、それを恥ずかしいと思うことすらない、そんな政権をもつ社会にこれから出て行こうという若者に、希望を持てといわれても持てるわけもありません。

新型コロナの対応をめぐる政府のやり方を見ていると、特にこれを感じます。沈着冷静で知られるドイツのメルケル首相が、あれだけ強い言葉で大きな身振り手振りで全身で感情を込めて国民に年末の過ごし方を訴えかけているのに、この国では総理大臣が、ニコ動で、これから検討するところです、と知り合いの報道関係者にこやかに答えることしかしない。トップに立つべき人と、そうすべきでない人の違いがあまりに鮮明でした。もしかするとドイツの若者はメルケルさんのようにはなりたいと思っても、日本の若者は総理大臣ですらあれくらいしかなれない、と思ってしまうでしょう。トップは大事なのです。なってみないとわからないということもあります。

新型コロナの診療に関わる医師に聞くと、この病気は、これまでの診療の常識が通用せず恐ろしい、といいます。肺炎が治まりそろそろ退院かと思ってレントゲン撮ると肺がまた白くなってる、ひょっとしてどこかでミスったのではないかと青くなってカルテを見直すことも珍しくないとか。軽症だったのにいきなり亡くなってしまう例も珍しくありません。医師だけでなく、転職の自由の効く看護師が辞めていくのを責めることはできません。

新型コロナにかかった場合、本来の担当は呼吸器内科です。だけど呼吸器内科は大抵は人数が少ない科で、呼吸器内科の医師がいない病院も大きな市町村であってもよくあります。福島だといわき市とか。ただ、この病気では呼吸器内科医が診てもできることは大体決まっているので、各病院にプロトコールを送り、救急など各科でそれに沿って緊急対応しています。ほかの病気ではこんなことはありません。極めて異常な事態です。医師は、ベテランであるほど専門外のことをさせられていることに大きなストレスを感じています。

大災害になってる大阪。医療機関にコロナ対応にしてくれとお金を積んでます。これまで大阪では医療従事者の育成は軒並み削減していて、代わりに政治ゲームにうつつを抜かし、この時期に住民投票に膨大な費用と人力をつぎ込み、結果、自分たちの好きなようにはならなかったら、政治ができたことに満足した、というコメントを残しました。そんな為政者のいうことに医療機関が本気で従うわけもありません。ただその政治家は住民が選んだわけで、現在の医療危機、既に失われてしまった多くの人の命は自らの選択ではあります。

政府は、自分たちの支持基盤が観光業、飲食店業界なので、GO TOを取り下げないことに不思議はありません。それより恐ろしいのは、そう上からいわれればどんな情況でも政府のいう事に素直に従って、脳天気に観光地をめぐり忘年会をする国民の方です。確かに、いつの時代でも国はいつでもそういう何も考えない国民を育てようとしてきました。日本学術会議会員で政府に反対した委員には新任を拒否したのはそのわかりやすい例。だけど、多くの先生たちはそんな中でも、いつの時代でも、学生には自ら考え、判断して行動するようにと教育してきたはず。戦争もこうやってはじまったのかと、うすら寒い思いがします。

2020年12月4日金曜日

RNAワクチンの副作用に世界はどう耐えるか

 英国を皮切りに、EU諸国ではファイザー社のRNAワクチンをまず医療従事者に投与されることになりました。フランスやオランダ、デンマークでは1月からとか。個人的にはこのワクチンは勘弁して、とは思いますが、やむをえない措置とは思います。欧米での多くの医療従事者の場合、リスクがあまりに高く、ワクチン接種によるデメリットよりも遙かに大きいのは明白です。

ただ、この接種がはじまると、抑えるという結果が明らかになるのは来年夏以降で、それまでは、おそらく副作用のみがマスコミを賑わすことになりそうです。どんなワクチンでもある程度の副作用はあります。どこまでが許容範囲か。

このRNAワクチン、BNT162b2、はCOVID-19スパイク蛋白をコードするmRNAを修飾して、LNP、リン脂質ナノ顆粒の中に封じ込めたものです。このLNPは薬物投与の新たな手法で、RNAのような不安定な(というよりは分解されやすい)ものに最適。RNA自体が、生体のものとはちょっと違うものに置き換えられていて、分解されにくくしているようです。おそらくファイザーのBNT162b2とモデルナの1273の違いは、顆粒の表面の処理、あるいはRNAの修飾の方法か配列の差によるのでしょう。

ワクチンが効いてる、という結果がでる夏くらいまで、短期的な副作用ばかりが出てくるので、ワクチンを受けないほうがいい、という風潮が出てきそうな気がします。私はあんまりリスクが高いとは思えないので当面は受けるつもりはないですが、リスクの高い人は受けたほうが良い。ずるいかもしれませんが、これは一人一人で判断するしかないところ。いまでも喫煙する人も大勢いますが、長期的な副作用は明白でかなり深刻でも、本人にはメリットがあるという判断でタバコ吸ってるわけで、このようなことはタバコほど重篤な被害でなくても、アルコールや、あるいはジャンクフードなど多くあります。自分で決めるしかない。

開発されてるワクチンの中では、従来の蛋白由来のもの以外ではこのRNAタイプが一番安全性が高く、深刻な副作用はおきにくいはずです。RNAをLNPを用いて投与するなんていうのは人類史上初の試みなので、想定外のことが長期的には起きる可能性もありますが、短期的には、普通のワクチンの副作用と同じくらいだろうというのがこれまでの小規模での結果のようです。来年中には短期的な副作用についてリスクの高い人を中心として大量の情報が集まるでしょう。一般に広がるのはそれからと思います。

ワクチンはともかくとして、簡単で安全な治療薬の開発を願います。なかなか治験の結果が出ないのは、今では効くのは全部投与してるので、特定の薬剤が効いたかどうかの判断がつかなくなってるから、と、呼吸器内科の先生がいってました。誰でも、人類のためよりは、自分だけは万全を期して治してもらいたいものです。

とはいっても、数が沢山集まれば、解析によって答えは出てくるでしょう。この前書いたカラギナンや、カモスタット等で細胞への侵入を防ぎ、症状が出てきたら、デキサメサゾンで症状のほうを抑える、という方法で、何とかしのぎたいところです。そういえば、よく似たオルベスコは、ちっとも効かん、と彼はぼやいてました。折角、オルベスコはウイルスの増殖を抑えるということもわかってたのに、がっかり。ま、タイミングかもしれませんが。

追記 2021/08/29

来年、つまり21年中にデータが出てそれから一般に広まるだろうと書きましたが、さらに加速されて夏までにはほぼ半数の国民がワクチンを受けるまでに広まりました。現実は想定を越えて進んでいます。デルタ株のような強力なのがこれから1年で蔓延するとは思いませんでしたが。その中で、モデルナのほうの副作用、異物混入が問題になってきています。この件については、次のブログの方に書きました。https://janushons.fc2.net/blog-entry-55.html 段々わかってきているような感じはします。

2020年11月24日火曜日

カラギナンで新型コロナ予防という臨床試験

カラギナンというゼラチンのような作用のある海草抽出物、多糖類が新型コロナに対する予防効果があるかを調べる第IV相の試験が医療従事者を対象にオーストリアで行われるというニュースが出てました。これはオーストリア・ドイツ圏ではすでに鼻スプレー、喉スプレー、トローチとして売られているようです。

 https://www.b3cnewswire.com/202011202154/marinomed-biotech-plans-clinical-trial-with-carragelose-nasal-spray-to-investigate-prevention-of-covid-19-infection-in-frontline-healthcare-staff.html

鼻スプレーなどはこちら。

http://www.coldamaris.at/coldamaris-rachen.html

カラギナンは食品添加物として、アイスクリームの粘性を増したり、あるいはいわゆる増量剤にも使われてるのかな、ありふれたもので、日本でもアマゾンなどから買えます。こんなものが、と調べてみると、きっかけはこの論文でしょう。pdfです。

https://media.marinomed.com/fa/45/58/2020-07-28-224733v1-full.pdf

まだ査読されてなくて、bioRxivにおかれてます。これは培養細胞を用いて新型コロナの感染性を調べたものです。カラギナンには3つのタイプがありますが、この図を見るとこのうちのイオタ型が一番よく効くのがわかります。



ただ、この図を見るとCMC、ごくありふれたねばねばをだす薬品でもある程度は感染を抑える活性があることがわかります。また、ここは利益相反がばりばりなので、どうかなあと持ってほかを探すと、特許情報もあり、こちら。

https://patents.google.com/patent/JP5647518B2/ja

特許情報なので長いですが、ずっと読んでくと、すでにコロナウイルス(但し新型ではない)を含む様々なウイルスに対して、特にイオタ型カラギナンが細胞への感染を抑えることは前から示されているようです。なおウイルスが来たときにこれがあることがカラギナンの抑制作用に必要で、前もって細胞をカラギナンで覆っておいてもダメらしい。ともかく、カラギナンの作用があっても特別驚くようなものでもないということはわかります。

先に書いた、アズレンとあわせてこのイオタ型カラギナンを使って、喉スプレーやうがいなどに使えば、新型コロナへの感染予防に良さそうには思えます。冒頭に書いた臨床試験はこのための試験ですが(アズレンは無いにしても)、こんな安く手に入って無害なものなら作ってみようかな。イオタ型はパンナコッタ専用ともいわれてるそうで、カルシウムがあるとすぐに固まるらしいので、調製方法に要注意かもしれません。自分で作るときは雑菌が生えないようになにか安全な防腐剤を加えておく必要がありますね。

2020年11月12日木曜日

RNAワクチン 追記

新型コロナのmRNAを成分としたファイザーのワクチンが「有効」という予備的な発表がありました。モデルナのがmRNAワクチンでは先行してると思ってましたが、さすがは大ファイザー、ネットワークが違います。ただ詳細がほとんどわからないのですが、どうもファイザーのはmRNA自体の安定性があまり改良されてない普通のRNAで、我々がRNAを扱うときと同じくらいの高い注意が必要なようです。保存は-80度は必須で、そこから出したときにはなるべく早く使いたいところ。はたしてこれを世界中に分配するときにどこまでできるか。地元の自治体などでは無理です。大学には沢山ありますし、うちのラボにも3台ありますが、どれも満杯で、空きはまずないのが普通。病院ではよほど大きくないと一台もないでしょう。ただ、ドライアイスを使いまくって配送、投与するという手はあります。

これに対して、モデルナのワクチンはRNAの分解されやすさが改良されてます。少なくとも超低温は必要としません。RNAを修飾してるのかな。この会社は新型コロナだけでなくて、頭頸部扁平上皮癌に対するガンワクチンも開発していて、高い技術力を持つようで、新しいワクチン作成企業として本命でしょう。

ただ、モデルナのワクチンでも、これでも人類に用いられたことのないもので、人体実験であることにかわりはありません。もちろん、安全性はほかの組み替えウイルスタイプなどのに比べれば遙かに高いはずですが、ちょっとわからないのは、分解されて断片になったものが何か悪さをしないだろうかということです。

短いRNA断片がいろんな生理作用を持つことはよく知られてますが、RNAワクチンが壊れた時に作られたものが、本来の短いRNAと似たような作用を示したり、あるいは生体にあるそういう短いRNAの活性を邪魔したりはしないのだろうかとは思います。もちろん、実際に入る細胞はごく少数なので、仮にその細胞内で毒性が発揮されたとしても、その細胞は死んでしまって人体には影響しないだろう、とは思います。だけど、一番心配なのは、それがガン化を引き起こすことがないだろうかという事。あくまで理論的な可能性で、起きる確率はものすごく低いとは思いますが、検証には10年以上かかります。ワクチンは普通の薬と違って、健康な人に打つので、普通の薬以上の安全性が求められ、人類初のRNA薬である以上は、それなりの時間が必要です。アデノウイルスを用いる他社のワクチンはこれより遙かに高いリスクがあり論外。従来型の蛋白を使ったものが一番安心。でもそれにしても2-3年は様子見だな。

追記

欲しいのはワクチンよりも簡単な薬。早い時期から出ていたカモスタット・メシル塩酸塩はどうなってるのだろうと、世界の治験サイトを覗いてみたところ、現在、15件の臨床研究が行われていて、まだどれも有効性に関する研究は終えてません。ちなみに今、世界中でCOVID19に関する臨床研究は4132件も行われていて、これまでかつてない件数となってます。カモスタットのはこちら

https://ichgcp.net/clinical-trials-registry/NCT04451083

安全性に関する小野薬品の試験のみが完了してます。今日、小野薬品は第三相の治験を入院患者を対象にはじめまたというニュースがありました。何にも結果は明らかにされてないのですが(治験なので当然)、少なくとも打ち切りにはなってません。これから患者が一気に増えていってるので、結果は近いうちには出るでしょう。少なくともものすごくよく効く特効薬ではない、というのがコンセンサスと思いますが、安全ならば、弱い効き目でも使いたいところです。

追記 11月15日

こう書いた端からモデルナが、高い有効性があるというデータを発表しました。やはりこのRNAワクチンでは-20度程度の冷凍保存ですむようで、何か工夫されてます。相当高い技術で、これが遺伝子ワクチンとして本命でしょう。それでも、人類史上初であることにかわりはなく、上に書いたような懸念は残るわけですが。

もっと追記

モデルナのニュースが流れてましたが、どうも、気になります。あれくらいの設備で世界を救えるようなものが作れるとは、ちょっと思えないけど、工場は別にあるのかな。あの会長さん、ちょっと怪しげだし。という印象の話はさておいても、気になるのはRNAそのものということだけでなく、それを細胞内に入れる試薬、どうもリポソームとかいわれてますが、そうだとすると、それ自体の毒性が気になります。リポソームを使ってDNAをいれたりするのは、我々日常的にやってますが、問題は細胞毒性。必ず出ます。これはもう何十年も改良され続けてますが、それでもやはり毒性は出るので、おそらくワクチンもリポソームを使って入れるのなら、同じ問題はあるでしょう ←これは間違い。リポソームですが、LNPというdurg deliveryを使います。あとで書きます。

2020年11月6日金曜日

食べるワクチン

 投票日の次の日は信じられない思いでニュースを見ていて、かつてその地で暮らした人間として暗然たる気持ちになってました。が、朝起きるとロストベルトの州をバイデンがとったとの女房の知らせに持ち直し、先ほど、ジョージアで逆転して、なんとかなりそうと、胸をなで下ろしてるところ。

それにしても、半数の人間がトランプの言動を見て嫌悪感を覚えないことにあらためて驚きます、なるほどこうやってヒットラーは民主的にユダヤ人大虐殺の道を歩くことができたのかとも妙に納得しました。投票所で銃を持って投票に来る人をにらみつけてる若者はまるでヒットラーユーゲントのよう。投票に行ったらこんなのがいたら、と思うとぞっとします。人間は一向に学習しません。バイデンが勝っても半数がそういうことにを支持してる情況にに変わりはなく、アメリカにはもう二度と行かないかな。一体、アメリカの理念と理想はどこにいったんだ。日本でもどんどん広がってるポピュリズムは憂うばかりですが。

いまはともかくバイデンの身の安全を願うばかりです。あんな支持者が人口の半分を占める中を道を歩いて会場に入るのは、見ているだけで冷や冷やします。まさに命がけだ。

そんな中、新型コロナが激しい勢いで広がってます。NYでは20%程度の人が7月の時点で新型コロナに対する抗体を持っていたと報じられてます。死者は米国の全人口の0.1%を超える勢いです。フランスでは、わずか一日で全国民のほとんど0.1%近くが陽性になってます。

治療法は大分進歩して重症者は減ってきてはいますが、意外なくらい新しい薬は出てきません。唯一、希望が持てそうなのは、食べるワクチンがオーストラリアで治験がはじまったというこのニュース。

https://www.businesswire.com/news/home/20201102005496/en/

bacTRL-Spikeというこのワクチンは何と乳酸菌です。この菌には新型コロナのスパイク蛋白を作るプラスミドDNAが含まれ、おそらくこの菌が小腸上皮細胞に取り込まれる際に一部のプラスミドが細胞内に放出されて、それがその細胞でスパイク蛋白を作るように仕組まれているのでしょう。ほんとに効くのか、とは思いますが、腸管免疫はバカにできません。長期的にも安全性は高そうで保存も楽で、配ればいいので広めるのも容易なはず、唯一、期待の持てるワクチンかもしれません。

追記

最初、自由党のJo Jorgensenがジョージアで6万票もとっていて、キャスティングになってることを書きましたが、この党の主張、ちらっとしか見てなかったもので、大幅に間違ってかきました。この人についてはこちらの記事が詳しい。news.yahoo.co.jp/byline/saorii/20201106-00206676/

極端な自由主義を掲げる党で、共和党に不利になったというのがこの人の見立て。たしかに内容は共和党に近いのだけど、心情的にはそうでもない気がする。ともかく、この人の記事は詳しく事実については正確なようで、この部分、速攻でカットしました。

2020年10月17日土曜日

欧米で感染者が急増

 福島では郡山を中心に、感染者数がこれまでにない数値を出してきています。行動追跡によると駅前に集中しているとの発表。福島では一番の賑わいのところで、東京から列車一本で80分で着くところなので、これまで増えてなかったことの方が不思議ではあります。県庁のある福島市では昨日は一人でたものの、このところ、ほとんど報告されてません。駅前の賑わいの差なのかと、福島市の住民としては微妙ですが。

東京はほとんど減ることもないまま、次第に増加する兆しが出ているように見えます。ただそれでもヨーロッパに比べるとずっと少ないレベルであるのは確か。今日の感染者数とその過去3週間のデータをour world in dataから抜き出したものがこちら。


北米の2つ、米国はトランプなのでしかたないにしても、一時期500人も切っていたカナダでも増えてきています。ヨーロッパ各国は軒並み激しい増加で、4週間の夜間外出禁止令が出たフランスを筆頭に、英国でも数万のオーダーで連日増えてきています。ポーランド、チェコなど東欧でも人口比で行くと高い感染者数になっています。また、スイスでは陽性者数0の日さえついこの前までありましたが、この数日では2000人を超えてます。

北欧をみてみると、スウェーデンでは昨日は970人で、この急増具合から行くと、今日にも1000人を久しぶりに超えそうです。ここも爆発しそうな勢い。下のグラフでは数字が今の時刻の数字なのでわかりにくいですが、各週の平均値で見ると、ノルウェーではこの3週間では、大体、100、200、200人、フィンランドではちょっとばらつきますがおおよそ100、200、200名くらいでしょうか。

人口はスウェーデンが1000万くらい、ノルウェーとフィンランドが500万くらいと倍くらいしか違わないのに、総感染者数は圧倒的にスウェーデンのほうが多く、また死者数も多いのは、よく言われるようにマスクを意地でもしてないことが大きいのかな。スウェーデンでもレストランは日本とは違ったモードで結構厳しく規制してますが、マスクだけは効果ないという判断に固執してます。一度言い出すとメンツでとり下げられないのはわかりますが、人の命に関わるわけで、あとで責任が問われそうです。全体として、ヨーロッパではこのようなノルウェー、フィンランドにくわえて女性首相ががんばってるデンマークの健闘が目立ちます。

それにしてもこの要因は何なのだろう?10月に増えるというのは予測されてなかったと思います。それとも、9月にvacationから戻ってきてそこで増えていたものが一気に広がったということでしょうか?

新型コロナによりこれまでに米国では既に国民の0.1%を超える人々が新型コロナのために命を落としています。やはりアビガン、レムデシベルは微妙なようで、手軽に使えて有効な薬の試験結果が待たれます。WHOはレムデシベルは効かない、と結論しましたが、やはり。それでもレムデシベルでしっかり儲けたギリヤドとトランプの勝ち。

ほかの薬に関する臨床試験結果もそろそろ出てくる頃です。感染者数が激増してるので、これからどんどん結果も出てくるでしょう。それにしても犠牲を伴わねば結果が確定できないというのは厳しいところですが。長期的にはワクチンがいいのかもしれませんが、この数年で考えると、特効薬とはいかなくても開業医で出せるような薬が出てくることしか、現実的な解決策はないような気もします。

2020年8月22日土曜日

Tolånga

Tolånga は、スウェーデン南部の村。14世紀、猛威を振るった黒死病、ペストによって人々が死に絶え、滅びかけた村のなかで、二人の異常に背の高い男性が生き残り、この村を再建したという伝説があるとか。いわゆる巨人伝説の一つなのでしょうか。

この地方に伝わるポルカを元にした曲を 232 Strängar という、スウェーデンのピアニストとバイオリニストの女性デュオが演奏してます。
https://www.youtube.com/watch?v=i-3ldKxA1kI

エストニアのラジオ局、KlassikaradioにFolgialbumという番組があり、外国の音楽を紹介しているので、よく聞いてますが、ここで彼女らの2つめのアルバム、Pillikud - Metsaunelm(葦/森の夢)が紹介されてました。何気なく聞いてましたが、次第に聞き惚れてしまいました。

これは5月に登録されていて、画像は家でポルカを踊るいろんな人たちです。おうちで楽しく、という、この頃よく作られた動画で、これを見てるとなんだか誰かが犬を抱いてるシーンを思い出すのであんまりぞっとしないところもあるのですが、この画像の素直さは、そんなことを払拭させてくれます。

人は、すべて生き物と同じく、自らの生存を脅かす他の生き物とずっと闘ってきました。しばらく忘れていましたが、我々人間もその宿命から逃れられません。黒死病が荒れ狂い、ヨーロッパの多くの街を滅ぼしていた時代、人々の恐怖を思います。ものを燃やして暖をとるしかない、水で流してくれるようなトイレもなかった時代。病原体がなんなのかもわからないまま、周りの人たちが次々に倒れていく、その恐ろしさがどれほどのものだったか。

そして、その恐怖から生き延びて、なんとか封じ込めてしのごうとすることを長く続けてきた人々の努力。この二人の音楽はそういうことを思い出させてくれて、心震えるものがあります。

2020年8月7日金曜日

ACE2受容体は健康な肺にはほとんどないらしい+ワクチンの話

COVID-19ウイルスが結合するとされるACE2分子は肺など呼吸器に発現してるとばかり思ってました。ところが、Molecular Systems Biologyに今回発表されたスウェーデン・Uppsala大の詳細な研究によると、実は気道~肺にはほとんど発現してないとか。
https://www.embopress.org/doi/full/10.15252/msb.20209610

ではなぜこのウイルスが呼吸困難を起こすのか?ウイルスは確かに感染者では気道下部にある肺胞II型細胞に多く見られます。ACE2受容体は、実はウイルス感染すると急に発現が増えるようです。これはインターフェロンによって起こされ、これはウイルス感染そのものによって起きると、彼らは考えています。おそらく上気道のACE2受容体にウイルスが少しついて、そこでインターフェロンを出させてACE2受容体を激増させ、ウイルスが肺の中にどんどん入っていく、というイメージでしょうか。この辺はこちらの紹介記事の方がわかりやすい。
https://www.embopress.org/doi/abs/10.15252/msb.20209610

問題は、一体、インターフェロンは治療に使えるものなのか、あるいは逆に危険なのか。結果的には、先に書いたように、たとえば武漢での医療人へのインターフェロンの鼻からの噴霧が有効と思われる結果などでいいような感じですが、逆に、実は理屈からいくと、また、マウスの実験
https://rupress.org/jem/article/217/12/e20201241/151999/

では、逆に、悪いはず。理屈、というのは今までの知見に基づいた、という意味なので、単に知識が足らないだけという事もあります。だけど、ここまで逆になるのは珍しい。このウイルスの謎の一つです。


ところで。英国のアストラゼネカ/oxfordから1億本以上のワクチンを供給してもらうという契約を日本が結んだとかいう話がでてます。これは組み替えアデノウイルスを使うタイプです。これまでこのような遺伝子組み換えウイルスがワクチンとして使われたことはありません。国全体で臨床試験をやるつもりでしょうか。普通ならこの種類のがワクチンとして認可されることはないはずなのだけど。

ワクチンの場合、そのリスクがどれくらいなのかの判断はとても難しく、短期的な安全性はもちろん確認できてもそれが長期的に有効か、安全なのかは長い時間がかかります。それで今回やってしまえばわかるだろう、ということなのでしょうが。

一方で米国のモデルナ/NIHが進めてるタイプは、前も書いたmRNAで、これもこれまで使われたことはないですが、理屈の上では一番安全性が高い。ファイザーもこちらのを作ってます。

ただ、ワクチンとして一番安全そうなのは、従来からのワクチン開発で行われてきたように、不活性ウイルスを用いるもので、これは中国が先を行ってます。ワクチンをうつならこちらだな。だけど、自分ではうたないと思いますが。

2020年7月11日土曜日

オルベスコの治療効果 追記 インターフェロン点鼻薬

喘息の薬、オルベスコ(シクレソニド)はすごく効いたという3名のCOVID患者の治療結果が出たのは3月。国内では、何カ所かで良く使われていたようですが、世界的には米国、カナダなどで臨床試験にようやくはいったくらいで、made in Japanだからか、あまり調べられてません。

まだかなあとネットで調べたところ、待望の他施設による結果が出てきました。聖マリアンヌのグループです。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S016817022030753X
幸か不幸か、患者数が日本では十分になりませんが、それでも充分、参考になりそうです。まず彼らは重症になる患者ではリンパ球数が低下することを示し、これを指標としてシクレソニドの効果を見ています(もうちょっと、ちゃんと書けませんかねという気はしますが。)

こちら。左が投与してない患者11名の変化。
preproofで正式な出版前なので、図の後ろにその旨を示す表示がありますが、査読された論文です。右が投与した7名の結果です。一人一人の変化を線で表しています。リンパ球数が低下した患者ではシクレソニドは全員に効いてリンパ球数を回復させています。

この話が3月に出た頃には喘息の患者でこの薬を必要としている人がいるのでと学会が警告を出す事態にもなりましたが、その後、供給体制は確保されたようです。

シクレソニドはウイルスの複製を阻害し、つまり基本的な懸念の消えないアビガンと似たような作用があるようです。なるほどステロイドで、ATP等とは似ても似つかぬ形ですが、ともかくRNA複製酵素に結合するのかな。


おそらく本来のステロイドのプロドラッグとしての作用である肺炎を抑えることも、治療に効果があるのでしょう。これらの作用があわさって結果的に回復が認められてるのではと思います。こちらは心配するような副作用はほぼ知られていません。

いずれにしても、この論文でもできるだけ早期に投与することが強調されてます。やはり、前からの方針通りに、私らとしては、コロナをつぶして喉の炎症を抑えるアズレンでうがいをして、怪しいと思ったら、カモスタットメシル(フォイパン)を舐めて細胞への侵入を防ぎ、オルベスコを吸入してウイルス複製をブロックすることにします。


追記
インターフェロンβ1aの吸入によって、COVID19入院患者の重症化率が78%減った、但し、偽薬との差はあんまり大きくない(p=0.046)、また、入院中の快復率は偽薬に比べて4倍高かった(こちらはもっとはっきりしてるらしい)、という二重盲研による厳密な臨床試験の結果が、英国の企業から公表されました。
https://www.globenewswire.com/news-release/2020/07/20/2064231/0/en/Synairgen-announces-positive-results-from-trial-of-SNG001-in-hospitalised-COVID-19-patients.html
101人の結果なので、統計的な力が弱いのはやむをえないですが、この結果は、他のセンセーショナルなのよりもよほど信頼が置けます。また、副作用の心配がまず要らないのも心強い。同じ試験は、米国においてもちょっと規模を大きくして行われてます。

追記の追記
この話、さらに関連情報が出てます。中国の湖北省のTaihe hospitalで医療従事者2415人全員にインターフェロンを毎日4回点鼻投与したところ、その投与の28日間のCOVID-19感染はゼロに抑えられました。こちらがデータ。

ただこのグラフ、ミスがあるようで、Wuhan medical staffのconfirmed caseの列が0なわけがありません。それで、この列は無視するとして、武漢以外の他の湖北省の病院では400人近くに感染が起きています。これにたいしてインターフェロン点鼻薬を使った医療従事者では0と完璧に押さえられてます。

すごい効果に見えますが、逆の可能性もないわけではないので、まだ予防として世界中で用いるにはエビデンスが不足してるかもしれません。だけど、個人的には使いたいところです。だけど、人用のインターフェロン点鼻薬なんて、手に入らないしなあ。



2020年6月30日火曜日

プラスミドDNAを用いたワクチン臨床試験か・・

ほんとにやるのか、プラスミドDNAワクチン。確かに治療薬が一斉に臨床試験に入ってるものの、特効薬的なのはなさそう。組み合わせならあるかもしれないですが。ならばワクチンというわけで、ワクチンの開発競争が世界中で始まってます。だけど、そもそもプラスミドDNAを注射してのワクチンは、これまで世界中で承認されたことがないはず。この機会にプラスミドDNAワクチン自体の試験をやってしまおうということでしょうか。

今回の報道ではまずは大阪市立大の30名くらいの医療関係者に対して、安全性と効果を確かめるということなので、COVID19に対する抗体ができるかどうかを調べるという試験なのかな。

しかし、日々、プラスミドDNAを扱っている研究者としては、これを自分に注射する気にはなりません。確かに簡単で、たとえばGFPを発現するプラスミドDNAをマウスの筋肉に打つと、緑に光る細胞が出てくるので抗体ができることはあるでしょう。だけど問題は、細胞内に取り込まれたDNAは一定の割合でゲノムの中に取り込まれること。

ものすごく低い確率なので、それが最終的にガン抑制遺伝子を破壊したり、大事な機能を持つゲノムを破壊する確率はかなり低いとは思います。だけど、それがCOVID19で死亡するリスクに比べて無視できるくらい低いかはやってみないとわかりません。

本来はウイルス断片をコードするRNAを注射してワクチンにするのが一番安全です。RNAはあと一段階で蛋白になるので効率も高い。なによりも大事なのはRNAはゲノムに組み込まれることもありません。だけどそれは人に使うレベルに持っていくには技術的なハードルが高く、またすでに米国ではビッグファームによるRNAワクチンの試験がはじまっています。これを作るのは技術的に難しすぎるし、おそらく特許に引っかかって儲からず、準備する時間もない。

それで産業化するために誰もやろうとしないプラスミドDNAワクチンをやってみよう、ということでしょう。だけど、さすがに開発元の阪大では臨床試験をやりたがらない。万が一のことを考えます。

だから近くで、市や大阪府のいうことを聞かざるをえず、またおそらくはうるさ方の少ない(想像)大阪市立大でやることにした、ということかと察します。この、特定の大学の医療関係者に、というところがどうも、うさんくさい。もちろん開発者ご本人も実際にDNAワクチンを打っておられるのでしょうが、自分の大学にはそれを説得できなかったわけで、普通に考えると、これはかなり危ない気がします。

いわゆる遺伝子治療においても、DNAの細胞内への導入が行われます。ただ、これらは、他に助かるめどのない、極めて重篤な症状にほぼ限定されています。それらの臨床試験は、健康な人においてなされているとは、まず思えません。かなり人道的な問題が発生します。

今回開発されたDNAワクチンはさすがに短期的な安全性は大丈夫でしょう。だけど一番気になる長期的な副作用は、10年、20年のスケールでしかわからないので、その様子待ちです。そもそも、この試験、許されるのかな。

2020年6月28日日曜日

米国の悲劇

COVID-19感染が止まりません。南半球はこれから真冬になるので、特にブラジルなど南米において増加率が日に日に増えているのは、やむをえないのかもしれません。北半球で新規感染者数はほとんどの国で減少していますが、ざっと見たところ、唯一の例外は米国。ここでは今月の初旬は一日の新規感染者数が2万人台でしたが、この2週間農地に3万人台を軽く超えて、この3日は4万人台に達していて上昇気配です。
Our World in Data, https://ourworldindata.org/covid-cases のグラフです。

これから夏になる北半球でこれだけ増えているので、これが秋に入り冬に向かう頃には、一体どんな情況になっているか、そら恐ろしいくらいです。すでにベトナム戦争での総死者数58220人よりも新型コロナでの死者数は遙かに超えていて、12万人を上回って、2倍以上の犠牲者を出す事態になっています。

第二次世界大戦において米国での死者数は29万人ほどなので、その半数にも近づいてきました。さらにこれは、戦争時よりもごく短い時間、わずか3ヶ月間くらいに起きたことで、米国史上で最悪の悲劇になりつつあります。

各国の対策によって感染者数と死者数が大きく異なることからも、この感染症が国の施策によって大きく左右されていることがわかります。陸続きのカナダでも、前に書いたようにモントリオールを中心とした被害が広まってましたが、夏に向かうにつれてはっきりとした減少傾向にあることがわかります。こちらも新規感染者数で
総数においても、人口比でもずっと米国より少ないことがわかります。

政治家を選ぶときのほんのちょっとした一人一人の行動がどれほど国家の大惨事を引き起こすかを、米国の悲劇は如実に示しています。選挙戦最終夜にLady Gagaがでてきて、投票する気が失せたのはわかりますが、自分たちの命に関わることは、真剣に行動しなければなりません。かつて、ドイツ国民がヒットラーを民主的に選択した結果、歴史に残る大惨事を起こしたことを思い出します。

ただ、今はそう書いていても、いつ日本が同じようになるかもわかりません。社会の舵取りがいまでは手動運転になっており、腕前がストレートに出てきます。アジアの中で決して低いわけではない日本の感染者数と死亡者数が、今後、さらにどうなるのか、毎日夕方にはどきどきしながらニュースを見ています。

2020年5月27日水曜日

月が明るいと感染は減る(のか?)

夏になるとcovid19は納まるのか、というのが誰もが願うこと。なかなかエビデンスが出てませんがコネチカット大学らの研究によるとこれは正しいだろう、ということです。未査読論文です。
https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.05.05.20092627v3

世界中の都市での状況を調べてプロットしたグラフがこちら。
温度とウイルス産生数(Log)の単純な分布図です。全体的に、寒いと増えて特に25度以上で減ってルように見えます。25度以上だと一度上がるごとに3.7%減ってるそうです。これくらいのばらつきではありますが。10度上がると3割減りますか。


ところが紫外線についてみると、強い紫外線のところではむしろ感染数が増えてます。紫外線が強すぎると、人の防衛能力が落ちるのかもしれない。 もっともこういう相関性を調べると、なにか傾向は出るもので、どれくらいあてになるか意味あるかわからないですが、彼らは調べられるあらゆるものとの相関を調べたようで、月が明るいと感染は減るという関係があるという結果も得られたそうです。意味不明ですが、それなりに物語は作れそう。村上春樹に頼むとか。

だけどすでに日中では30度を超えることもある北九州市では、第三波が来ている模様で(4月のは第二波とされてます)、第一波の時も、北九州は早くに感染者が出ました。今回はこれがそのさきがけにならない事を願います。ちょうど、昨日、韓国ソウルで40名感染というニュース。北九州市は地理的に韓国と近く、高速船だとすぐで、仕事での人の交流が多い。闇のお仕事の交流もあるのかもしれない。何か、関連があるのでしょうか。

追記 5/31
この研究、信じたいのは山々ですが、この数日、フィリピンで爆発的に増えています。フィリピンではこの2週間ほど、200人台をキープしてましたが、この4-5日前から増えだし、この3日間で、380、539、1046人と感染者数が指数関数的に増えてきました。また、感染防御のお手本とされ、入国も緩和するとかいうニュースもたしかでてきていたタイ国でも数は少ないのですが、3、9、9、11人と連日新規感染者数が増えてきました。

猛暑とつたえられるインドではこの2週間で2倍になり、毎日、7000人を超える感染者が出ています。単純に暑いとCOVIDはいなくなるという甘い夢はあきらめます。

2020年5月21日木曜日

モントリオールの厳しい情況

ようやく福島でも新規感染者ゼロの日が10日続き、本学でもそろそろ感染者病棟を縮小しはじめることになりました。東北全体でも殆ど出ておらず、東京でも一桁になって、ほっとして、論文読もうとしたら読めない雑誌があったのでモントリオールの昔のラボメートにメールをしました。モントリオールを出てから、随分長い時間が経ってますが、一緒にやってたときのようにずっといろんなお手伝いをしてくれてます。こちらが厚かましいだけという話もありますが。

ふとカナダでのcovidの状況を見ると、アメリカに準じて感染者数も死者数も多いことが気になり、彼女にpdfの御願いとモントリオールの状況を聞いてみました。考えてみたら、感染が広がって以降はメールしてませんでした。

モントリオールはカナダの感染の中心なのよ、と彼女が書いてきました。McGill大学では8月末まで完全閉鎖で、ラボにも立ち寄ることができず、講義は12月末までの遠隔授業が決まってるとのこと。オランダから来てる学生が1月まで遠隔授業に決まったといってましたが、モントリオールでも年内の終結は無理という判断だそうです。

街の様子を知りたいと思い、Montreal Gazetteという懐かしいモントリオールの唯一の英文の新聞社のサイトを覗いてみました。だけど、そんな感傷もすぐに引っ込みました。


ここで言ってるMontrealとはおそらく、モントリオール市と周辺地域をあわせた地域のことと思います。あわせると400万人くらい住んでます。 セントローレンス川の上流の三角州、モントリール島の大部分がモントリール市になります。マンハッタン島のようなものです。モントリオール市には160万くらいです。
住んでいたエリアはこの足の形の島の右手ちょっと上でした。このへんにMontRoyalという小高い山があり、これがモントリオールのシンボルで、McGill大はその東側のスロープにあり、こちら側が英語系住民の居住地域になります。4年半ここでポスドクしてましたが、ほとんどこのエリアから出たことがなく、地図も見なかったので、当時はこんなところに住んでるとは思いませんでした。お恥ずかしい話。

モントリオール市はEastとWestに分かれていて、フランス系住民が圧倒的に多い東と、英語系住民が多く住むWestの対立は長く続いていました。Wikiを見ると、このモントリオール島での統治についても2002年には一度モントリオール市が管轄すると決まったものの、おそらくフランス系住民重視に辟易したWestの多くの地域が独立して自治体を運営することになってます。日本では想像もつかない世界です。

こうやって地図を見ると"Est"は実は北で、Westはその南側になるようです。ややこしい。ともかく感染者数について示したものがこちら。

北部に集中していて、ここでは2%の住民に感染が起きています。友達の話によると、このエリアは人口密度が高い地域で、おそらくそのために感染が広がったのではないかとのことです。長年住んでましたが、ここは行ったことがなく、まったくイメージが湧きません。新たに整備されて、おそらく移民が暮らす地域になってるのかもしれません。地域格差は日本の比ではなく道を歩けば歴然です。今のトルドー大統領と、かつて名大統領として有名だった父親の大統領の家のあるWestmountのあたりは感染率が低く、USと同じで、貧しく密集した地域で感染が広まる構図でしょう。

死者数を見ると、モントリオール全体で2323人と、全人口の0.06%、感染した人の一割くらいが亡くなってます。10%超というとても高い死亡率で、日本の死亡率が約0.05%なのでその20倍超えてます。そのうちの~90%が施設に住む高齢者です。

高齢者施設で感染が一度起きると、一気にその中に広がります。施設間での職員のやりくりによってさらに感染が広がる悪循環です。どこかのサイトに総感染者数の5人に一人は医療従事者とありましたが、となると4000人強が感染してることになり、さすがにこれは何かを間違えてると思いますが。ともかく今でも毎日30名程度が亡くなっています。ひと頃よりも感染者数は減ってはいるそうですが、それでも一日300人近くの新規感染がモントリオールであり、相当厳しい状況。

彼女は大学に行けないので、ずっと自宅です。ならいっそ故郷のNovaScotiaに帰ったら、とは思って、それとなく聞いてみましたが、確かに故郷では感染率はずっと低いようです。ただ、モントリオールから出ることは許されていない、とのこと。どの程度厳しいのかわかりませんが、そんなことは考えていないようです。

他の州では封鎖も解除されつつあり、少しずつお店なども再開しているとのことです。だけどモントリオールはダメ、当面無理との話です。モントリオールはカナダ経済の中心で、Westmountには多くの金融関係者が住んでいます。カナダ全体への影響も相当深刻でしょう。これもあってでしょうが、25日からは小売店がオープンするそうです。だけど、どうも市中感染が広がっているそうで、大丈夫なのか。

2020年5月13日水曜日

オランダの大学は来年1月まで閉鎖

現在、ラボに来てるオランダ人の留学生たちの話によると、先週末に彼らの大学から連絡があり、現在の大学閉鎖を来年の1月まで継続する、ということになったそうです。January というのが信じられず、何か聞き間違ったかと何度も聞き直してしまいました。日本では急速に新規感染者数が減り、明日にも自粛要請が解除されようかというところですが、オランダでは、感染は年内は終息しない、と判断したようです。

オランダでも新規感染者数は急速に減っていて、昨日で245名、先週の日本くらいにはなっています。ただ人口は日本のちょうど1/10くらいなので、人口比でいくと10倍多いことになります。とくに死者数が多く、この1週間でも、大体60-80名くらいの方が亡くなられています。急速に減ってはいますが。

彼らの話によると、オランダの南部でフランス、イタリアから来た観光客から感染が広まっていて、南部が特にひどい情況だそう。彼らの北部ではそれほどでもないとはいってましたが、それでも年明けまで閉鎖です。そういえば、一旦感染が収まった中国でも東北の吉林省吉林市では新規感染が6名確認され、部分的とはいえ、再びロックダウンされることになりました。この部分的なロックダウンというのは、中国の場合、今の東京のような自粛ベースよりは厳しいものと思います。

日本で新規感染者がこのまま減っていっても、どこかの国で感染が続いている限りは流入を防ぐことはできないでしょう。現在の入国規制を継続すると、とくに中国からのinboundをあてにしている観光業界では、死活問題になります。しかし、そうはいっても、死ぬよりはましで、新たな生き残り策を社会として模索していく必要がありそうです。

2020年4月30日木曜日

高血圧の薬、レムデシビル臨床試験の結果

前にアンジオテンシン受容体拮抗薬系の高血圧の薬、オルメサルタン、ニューロタンなどが、当初は、COVID受容体を増やす可能性が指摘されて、感染リスクが上がるかもしれない、といわれました。だけど、そんなことはないという速報が出てましたが、今回、まだ査読はすんでませんがデータが公開されました。https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.04.24.20077875v1
ARBというのがアンジオテンシン受容体拮抗薬です。これは610人の感染者のうちで、8.69%がARBを飲んでいた、ということで、これは全体の割合が15.38%である事からすると、単純にいえば、感染しにくい、ように見えます。逆にカルシウムチャネル阻害薬、アムロジピンなどですが、これはそのしたのCCBで、その数値が逆転していて、感染しやすいのか??というデータにはなってます。

他に影響を与えるファクターもあるでしょうし、これくらいの違いで一概には言えませんが、少なくとも、オルメサルタンは飲んでてもいいらしい、ということはわかります。

また、もう一つ公表された注目の研究、レムデシビルの効果についてですが、やはりかつて言われたほど有効ではないようですが、回復までの期間を飲まなかったときの15日から11日に縮め、効いてはいます。ただ死亡率には差はなかったそうです。こちらは米国の国立アレルギー感染症研究所(NIAID)によるphaseIIIの試験で、おそらくこれまでで一番信用おけるもの。

これで米国政府はこれを標準薬にしようといってます。一方。中国での臨床試験では、患者が集まらず途中で中止になったのですが、その経過報告でも死亡率に差はなかったという話。ギリアド社はこれを承認させたい、米国としても同じ、と考えると、ある程度は効くだろうけど、当初期待したほどではない、というところと思えます。なお、副作用としては、これにはアビガンのような催奇性もふくめてほとんどでてきてません。ただ、精子が減少するという結果はたしかギリアドから出ています。

理屈として、レムデシビルは新型コロナの親戚のMARSのウイルスでは、そのRNA複製酵素にATPよりもよく取り込まれることが示されていて(https://www.jbc.org/content/early/2020/02/24/jbc.AC120.013056)、効いてもおかしくはないです。

ただ、死亡率が変わらないというのはがっかり。そういえば、あまり話題になってないのですが、ガスター10と同じ有効成分を持つ薬を飲んでる人では死亡率は半減するというデータがあります。これは6212人のデータで、サイエンス誌に報告されてます。
https://www.sciencemag.org/news/2020/04/new-york-clinical-trial-quietly-tests-heartburn-remedy-against-coronavirus

割と信頼はおけそうです。飲んでると死亡率は約14% で飲まなかった人は別の胸焼け薬オメプラゾールを飲んだ人の死亡率27%よりも低いという話で(ただし有意差はまだないらしい)、これをうけて、NYではガスター10の有効成分ファモチジンを静注しようという試験がはじまっているそうです。ファモチジンは実際にウイルスと結合するらしい。ただ、この話、コントロールとして用いた集団がオメプラゾールを飲んだ人で、この死亡率がちょっと高すぎるのでは、という気もします。COVIDでの死亡率は中国でもここまで高くないので、この話はよくわかりません。

2020年4月18日土曜日

その筋の人

6台目暴力団で抗争禁止指令が出た件で、元組員で今は堅気の作家、竹垣悟氏によるこのコメント

「暴力団員の多くは入れ墨が入っており、毛穴を防ぐので汗が出ず、皮膚呼吸がしにくい。だから肺、心臓など呼吸器系が弱くなる傾向がある。それに日常生活の中で暴飲暴食は当たり前。規則正しい生活は刑務所か拘置所にいる時だけです。私も入れ墨が入っていますが、一般の方と比較して体力は弱いと感じます。」

「新型コロナウイルス感染防止は多人数で集まらないことが大事とされている。暴力団のみなさんも肩で風切って歩き、飲みに行くようなことはせず、自宅で養生。社会に迷惑をかけないようにしてほしい」

思わず笑ってしまいます。そういえば、明らかにその筋の人が救急に来ていて、いかにもな感じの女性が付き添ってました。医者は大変です。どういう人でも診ないといけません。いろいろと武勇伝のある医者もいるようです。

2020年2月29日土曜日

喫煙とCOVID-19

COVID-19もインフルと同じく、たいていの人は軽い症状で済むものの、重症化してしまうのが怖いところ。リスクが高いのは心肺関係に疾患を持った高齢者、あるいは糖尿病患者。それと、あまり日本の記事では見ませんが、喫煙することも高いリスクファクターと云われています。この点、はっきりとした証明はまだないですが、根拠となるのが、中国でのCOVID-19の結果。男性の方が高い死亡率を持ちます。

これはWorldometerという(ミススペルではなく、日本人としては嫌みかと思ってしまう名前ですが)統計的データのポータルのようなところで

のCOVID-19のサイトにある数値です。男性のほうが女性よりも1.65倍ほど死亡率が高い。男女差が出ることはどの疾患でもあるので、一概には言えませんが、男女で同じ感染率だとすると、男性の方が何か重症化するファクターがあり、これは、中国でのものすごく極端な男性と女性の喫煙率の差です。男性は54%もの高い喫煙率といまどきと驚く度高く、女性は2.6%とこちらは日本よりもずっと低い。たしかにこれだけ違うと、死亡率に影響を与えてもおかしくありません。

少なくとも喫煙すると肺に炎症を引き起こすので、喫煙者は慢性の肺疾患と似たような状態になっています。そこにウイルスが来るとさらに炎症は一気に広がりやすく、免疫の暴走がはじまって、呼吸が困難になってしまう、ということは十分考えられます。詳しい研究はちかいうちに出るでしょう。

今の時期にはさすがにヘビースモーカーでも控えておられるでしょうが、この点は、もっと周知されないといけない。

ところで、
サッカーを見れるのは、いつになることやら。埼玉スタジアムでのカップ戦決勝終了直前、キーパーも上がってきたコーナーキック、既に伝説となった深井が決める直前のシーンでも眺めていよう。