喘息の薬、オルベスコ(シクレソニド)はすごく効いたという3名のCOVID患者の治療結果が出たのは3月。国内では、何カ所かで良く使われていたようですが、世界的には米国、カナダなどで臨床試験にようやくはいったくらいで、made in Japanだからか、あまり調べられてません。
まだかなあとネットで調べたところ、待望の他施設による結果が出てきました。聖マリアンヌのグループです。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S016817022030753X
幸か不幸か、患者数が日本では十分になりませんが、それでも充分、参考になりそうです。まず彼らは重症になる患者ではリンパ球数が低下することを示し、これを指標としてシクレソニドの効果を見ています(もうちょっと、ちゃんと書けませんかねという気はしますが。)
こちら。左が投与してない患者11名の変化。
preproofで正式な出版前なので、図の後ろにその旨を示す表示がありますが、査読された論文です。右が投与した7名の結果です。一人一人の変化を線で表しています。リンパ球数が低下した患者ではシクレソニドは全員に効いてリンパ球数を回復させています。
この話が3月に出た頃には喘息の患者でこの薬を必要としている人がいるのでと学会が警告を出す事態にもなりましたが、その後、供給体制は確保されたようです。
シクレソニドはウイルスの複製を阻害し、つまり基本的な懸念の消えないアビガンと似たような作用があるようです。なるほどステロイドで、ATP等とは似ても似つかぬ形ですが、ともかくRNA複製酵素に結合するのかな。
おそらく本来のステロイドのプロドラッグとしての作用である肺炎を抑えることも、治療に効果があるのでしょう。これらの作用があわさって結果的に回復が認められてるのではと思います。こちらは心配するような副作用はほぼ知られていません。
いずれにしても、この論文でもできるだけ早期に投与することが強調されてます。やはり、前からの方針通りに、私らとしては、コロナをつぶして喉の炎症を抑えるアズレンでうがいをして、怪しいと思ったら、カモスタットメシル(フォイパン)を舐めて細胞への侵入を防ぎ、オルベスコを吸入してウイルス複製をブロックすることにします。
追記
インターフェロンβ1aの吸入によって、COVID19入院患者の重症化率が78%減った、但し、偽薬との差はあんまり大きくない(p=0.046)、また、入院中の快復率は偽薬に比べて4倍高かった(こちらはもっとはっきりしてるらしい)、という二重盲研による厳密な臨床試験の結果が、英国の企業から公表されました。
https://www.globenewswire.com/news-release/2020/07/20/2064231/0/en/Synairgen-announces-positive-results-from-trial-of-SNG001-in-hospitalised-COVID-19-patients.html
101人の結果なので、統計的な力が弱いのはやむをえないですが、この結果は、他のセンセーショナルなのよりもよほど信頼が置けます。また、副作用の心配がまず要らないのも心強い。同じ試験は、米国においてもちょっと規模を大きくして行われてます。
追記の追記
この話、さらに関連情報が出てます。中国の湖北省のTaihe hospitalで医療従事者2415人全員にインターフェロンを毎日4回点鼻投与したところ、その投与の28日間のCOVID-19感染はゼロに抑えられました。こちらがデータ。
ただこのグラフ、ミスがあるようで、Wuhan medical staffのconfirmed caseの列が0なわけがありません。それで、この列は無視するとして、武漢以外の他の湖北省の病院では400人近くに感染が起きています。これにたいしてインターフェロン点鼻薬を使った医療従事者では0と完璧に押さえられてます。
すごい効果に見えますが、逆の可能性もないわけではないので、まだ予防として世界中で用いるにはエビデンスが不足してるかもしれません。だけど、個人的には使いたいところです。だけど、人用のインターフェロン点鼻薬なんて、手に入らないしなあ。
まだかなあとネットで調べたところ、待望の他施設による結果が出てきました。聖マリアンヌのグループです。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S016817022030753X
幸か不幸か、患者数が日本では十分になりませんが、それでも充分、参考になりそうです。まず彼らは重症になる患者ではリンパ球数が低下することを示し、これを指標としてシクレソニドの効果を見ています(もうちょっと、ちゃんと書けませんかねという気はしますが。)
こちら。左が投与してない患者11名の変化。
preproofで正式な出版前なので、図の後ろにその旨を示す表示がありますが、査読された論文です。右が投与した7名の結果です。一人一人の変化を線で表しています。リンパ球数が低下した患者ではシクレソニドは全員に効いてリンパ球数を回復させています。
この話が3月に出た頃には喘息の患者でこの薬を必要としている人がいるのでと学会が警告を出す事態にもなりましたが、その後、供給体制は確保されたようです。
シクレソニドはウイルスの複製を阻害し、つまり基本的な懸念の消えないアビガンと似たような作用があるようです。なるほどステロイドで、ATP等とは似ても似つかぬ形ですが、ともかくRNA複製酵素に結合するのかな。
おそらく本来のステロイドのプロドラッグとしての作用である肺炎を抑えることも、治療に効果があるのでしょう。これらの作用があわさって結果的に回復が認められてるのではと思います。こちらは心配するような副作用はほぼ知られていません。
いずれにしても、この論文でもできるだけ早期に投与することが強調されてます。やはり、前からの方針通りに、私らとしては、コロナをつぶして喉の炎症を抑えるアズレンでうがいをして、怪しいと思ったら、カモスタットメシル(フォイパン)を舐めて細胞への侵入を防ぎ、オルベスコを吸入してウイルス複製をブロックすることにします。
追記
インターフェロンβ1aの吸入によって、COVID19入院患者の重症化率が78%減った、但し、偽薬との差はあんまり大きくない(p=0.046)、また、入院中の快復率は偽薬に比べて4倍高かった(こちらはもっとはっきりしてるらしい)、という二重盲研による厳密な臨床試験の結果が、英国の企業から公表されました。
https://www.globenewswire.com/news-release/2020/07/20/2064231/0/en/Synairgen-announces-positive-results-from-trial-of-SNG001-in-hospitalised-COVID-19-patients.html
101人の結果なので、統計的な力が弱いのはやむをえないですが、この結果は、他のセンセーショナルなのよりもよほど信頼が置けます。また、副作用の心配がまず要らないのも心強い。同じ試験は、米国においてもちょっと規模を大きくして行われてます。
追記の追記
この話、さらに関連情報が出てます。中国の湖北省のTaihe hospitalで医療従事者2415人全員にインターフェロンを毎日4回点鼻投与したところ、その投与の28日間のCOVID-19感染はゼロに抑えられました。こちらがデータ。
ただこのグラフ、ミスがあるようで、Wuhan medical staffのconfirmed caseの列が0なわけがありません。それで、この列は無視するとして、武漢以外の他の湖北省の病院では400人近くに感染が起きています。これにたいしてインターフェロン点鼻薬を使った医療従事者では0と完璧に押さえられてます。
すごい効果に見えますが、逆の可能性もないわけではないので、まだ予防として世界中で用いるにはエビデンスが不足してるかもしれません。だけど、個人的には使いたいところです。だけど、人用のインターフェロン点鼻薬なんて、手に入らないしなあ。