去年の暮れに出ていたアルツハイマーの2つの新たな治療薬の件、前のブログに書いてました。こちら。
http://paidevali.blogspot.com/2019/11/blog-post_7.html
この記事にはアクセスが多く、また私も気になってました。調べたところ、新たな情報が新型コロナの中に埋もれてました。この記事で書いたOligomannateが米国で治験になったという話。4ヶ月前に出てました。
https://www.beingpatient.com/seaweed-alzheimers-drug-clinical-trials-oligomannate/
アデュカヌマブについては日本での進展が報じられる中、遙かに安そうなOligomannateの続報がないかなと検索して、私の見てる医療系のニュースサイトでは出てなかったので気がつきませんでした。こちらには出てます。
https://response.jp/release/kyodonews_kaigai/20200428/66456.html
そしてさらに、検索してると、7月には待望の中国でのPhaseIIの治験の結果がpreprintサーバーに出てました。査読中と思われます。
https://europepmc.org/article/ppr/ppr184086
一日600、900mg(それぞれ、150mgのカプセルを2つ、3つとあるので量は半分になるはずだけど、1日2回なのかな)のoligomannate (GV-971)と偽薬を軽・中度のアルツハイマーの患者に24週間投与して、結果は統計的に有意ではないが効く傾向にあるという内容。これは希望が持てるとは思ったのですが、この治験が行われたのは2011年10月から2013年7月。ん?たしかに、そもそも中国国内では既に条件付きとはいえ使われてるはずで、となると、PhaseIIIも済んでるはず。
どうも妙な気がして、さらに調べました。すると、この記事。
https://www.sixthtone.com/news/1005912/neuroscientist-speaks-out-against-chinese-alzheimers-drug%2C-again
7月にSIX TONESという中国の非政府系メディアから出ている記事にたどり着きました。これによると、北京にあるCapital Medical Universityの学長Rao Yiという著名な学者(と書いてある)が、この一連の研究について、疑惑があり調査すべきである、という主張をしていて、すでにNational Natural Science Foundation of Chinaに調査をするような要請を行ったとのことです。
彼の疑念は、このoligomannnateの薬、GV971に関する一連の12報の論文と、上のブログで紹介したCell Researchの論文が一貫してない、ということと、この薬の効き目が彼らの云うような広範囲な作用の結果によるものならば、もっといろんな副作用が起きるはず、ところが、彼らの論文では有効な作用しか書かれていない、という2点のようです。
具体的ではないですが、これらの疑念は確かに、この話の全体に感じるものでもあります。これに対する他のレスポンスはなかなか見つけられません。アルツハイマーの新薬というのは世界中が待ち望まれています。唯一、これ以外にあるのが今進んでいるアデュカヌマブ、日本ではエーザイが動いています。だけどかろうじて効くのかどうかくらいで、ものすごく高いことは確実な薬。
アルツハイマーには世界中で膨大なお金がつぎ込まれ、多くの薬が登場しては消えてきました。このOligomannate、GV971は2003年以降ではじめて(限定付きとはいえ中国で)承認されたアルツハイマーの薬。国としても期待するでしょうし。それにこれは海草からの抽出物で圧倒的に安い。42カプセルで128ドル。一日6錠使うのなら高いですが、それでもアデュカマブとは比較にならないでしょう。副作用がないのは確かなようなので、多少でも効く可能性があるのならいいのかもしれません。もしかしたら、アデュカヌマブ程度には効くのかもしれない。おそらく、そういうことすべてを踏まえての米国FDAからの承認のはず。
だけど、がっかりです。どうかなあとは思いつつも、期待の新薬ではあったのに。この疑惑は重く、フォローが必要です。
http://paidevali.blogspot.com/2019/11/blog-post_7.html
この記事にはアクセスが多く、また私も気になってました。調べたところ、新たな情報が新型コロナの中に埋もれてました。この記事で書いたOligomannateが米国で治験になったという話。4ヶ月前に出てました。
https://www.beingpatient.com/seaweed-alzheimers-drug-clinical-trials-oligomannate/
アデュカヌマブについては日本での進展が報じられる中、遙かに安そうなOligomannateの続報がないかなと検索して、私の見てる医療系のニュースサイトでは出てなかったので気がつきませんでした。こちらには出てます。
https://response.jp/release/kyodonews_kaigai/20200428/66456.html
そしてさらに、検索してると、7月には待望の中国でのPhaseIIの治験の結果がpreprintサーバーに出てました。査読中と思われます。
https://europepmc.org/article/ppr/ppr184086
一日600、900mg(それぞれ、150mgのカプセルを2つ、3つとあるので量は半分になるはずだけど、1日2回なのかな)のoligomannate (GV-971)と偽薬を軽・中度のアルツハイマーの患者に24週間投与して、結果は統計的に有意ではないが効く傾向にあるという内容。これは希望が持てるとは思ったのですが、この治験が行われたのは2011年10月から2013年7月。ん?たしかに、そもそも中国国内では既に条件付きとはいえ使われてるはずで、となると、PhaseIIIも済んでるはず。
どうも妙な気がして、さらに調べました。すると、この記事。
https://www.sixthtone.com/news/1005912/neuroscientist-speaks-out-against-chinese-alzheimers-drug%2C-again
7月にSIX TONESという中国の非政府系メディアから出ている記事にたどり着きました。これによると、北京にあるCapital Medical Universityの学長Rao Yiという著名な学者(と書いてある)が、この一連の研究について、疑惑があり調査すべきである、という主張をしていて、すでにNational Natural Science Foundation of Chinaに調査をするような要請を行ったとのことです。
彼の疑念は、このoligomannnateの薬、GV971に関する一連の12報の論文と、上のブログで紹介したCell Researchの論文が一貫してない、ということと、この薬の効き目が彼らの云うような広範囲な作用の結果によるものならば、もっといろんな副作用が起きるはず、ところが、彼らの論文では有効な作用しか書かれていない、という2点のようです。
具体的ではないですが、これらの疑念は確かに、この話の全体に感じるものでもあります。これに対する他のレスポンスはなかなか見つけられません。アルツハイマーの新薬というのは世界中が待ち望まれています。唯一、これ以外にあるのが今進んでいるアデュカヌマブ、日本ではエーザイが動いています。だけどかろうじて効くのかどうかくらいで、ものすごく高いことは確実な薬。
アルツハイマーには世界中で膨大なお金がつぎ込まれ、多くの薬が登場しては消えてきました。このOligomannate、GV971は2003年以降ではじめて(限定付きとはいえ中国で)承認されたアルツハイマーの薬。国としても期待するでしょうし。それにこれは海草からの抽出物で圧倒的に安い。42カプセルで128ドル。一日6錠使うのなら高いですが、それでもアデュカマブとは比較にならないでしょう。副作用がないのは確かなようなので、多少でも効く可能性があるのならいいのかもしれません。もしかしたら、アデュカヌマブ程度には効くのかもしれない。おそらく、そういうことすべてを踏まえての米国FDAからの承認のはず。
だけど、がっかりです。どうかなあとは思いつつも、期待の新薬ではあったのに。この疑惑は重く、フォローが必要です。
追記 2021/06/12
アデュカヌマブの条件付きの承認で治験がはじまりました。実はこの記事の3ヶ月後には、上に書いたGV971の米国FDAでの米国・ヨーロッパでの治験が承認されてはじまっています。こちらに書きました。https://janushons.fc2.net/blog-entry-35.html