2020年4月4日土曜日

地平線のパトロール

「夢の中で受けた屈辱は、醒めてからの現実では晴らすことができないし、醒めてからの現実の痛みは、夢の中で癒すことができない。二つの世界の間には鉄道も橋もなく、たださむざむとした断絶があり、それをむすぼうとする者は眠りの虜になるしかない。」


どうも、COVIDにメンタルやられてるなあと、寺山修司を読んでます。引用した文章は「地平線のパトロール」から。どうせ引きこもるなら、彼の作品を全部読んでおこうと思い立ち、まだ読んでないのがどれだけあるか調べて片端から注文してたら、気がついたら17冊になってしまいました。

要は、COVIDを言い訳にして買っただけのような気もするけど、ともかく、読めば読むほど、ものすごい才能。こんな天才が、他にもごろごろいて、60年代に青春を過ごした人たちはどれだけ幸運だったろう。


「来るあてのない手紙を待っていることがある。
引っ越したばかりで、だれにも住所を教えていないのに郵便配達夫のベルがきこえると、思わず玄関まで見にいってみるときの、あの期待は何に根ざしているのだろう。
・・・・・・
人はみな、受け取らない手紙のことばかり考えながら、ひっそりと自分の世界状態を守っているのである。・・・・・・」