あまりにこのグーグルブロガーが使いにくくなったので、あきらめてFC2に移ります。こちらです。
2020年12月31日木曜日
2020年12月29日火曜日
緑内障にニコチンアミドが有効
前にも書いた、緑内障にニコチンアミドが有効か、という話、ずっと行っていたオーストラリアのメルボルンにあるCentre for Eye Research Australiaでの臨床試験の短期間の結果が夏に出ていました。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/ceo.13818
ニュースはこちら。
https://medicalxpress.com/news/2020-07-vitamin-b3-glaucoma-patients-clinical.html
49名の緑内障患者を2つに分けて、6週間のセットを4回、偽薬かニコチンアミド、入れ替えて投与し、各セットの後で診察して数値を取ってます。I群では偽薬を2セット続けて、その後、ニコチンアミドを0.5g錠剤を一日三回、計1.5gを6週間、ついで1.5g錠剤を朝晩に飲む3gのセットを6週間行いました。これで、同じ人で、ニコチンアミドが偽薬よりも有効だったかを知る事ができます。
評価に使った数値は光に対する網膜の応答で、少々、専門的ですが、どれくらい見えてるかの定量化になるのかな。
AとBでは異なる網膜の活動を示していて、最初のニコチンアミド1.5g/dayよりも次の6週の3g/dayのほうがより高い数値を示してます。CDはまとめで、1.5g/dayと3g/dayをそれぞれ6週間投与すると平均12.6%の改善が見られています。視野については、ニコチンアミド投与された27%の人が改善され、これは偽薬では4%の低下だったとのこと。
これは眼圧とは関係がなく、ニコチンアミド投与しても眼圧は変わらなかったそうです。つまり、他のところで効いていて、たぶん網膜神経節細胞での代謝の変化だろうと考えてます。他に言いようがないでしょうが。
これは12週という短い時間での検討なので、もっと長い時間でどうかというのは、現在進行中だそうです。量については、3Gというのは経験的なものといってて、長期的にはまた変わってくるかもしれませんが、ニコチンアミドはこの研究でもほとんど副作用が出てないので、緑内障で使わない手はないのかもしれません。ただ、長期的に使うと悪くなるという可能性も0ではないので、やはり、待てる人は待ったほうが良いでしょうか。ともかく、緑内障の有力な治療となりそうな感じはします。
カモスタットが新型コロナに有効だった報告2例
まったくニュースにもならないですが、先に書いた、カモスタットが新型コロナのICUでの治療において有効だったという報告が2つ見つかりました。いずれも数は少ないですが。カモスタットは、飲み薬でウイルスの細胞への侵入を防ぎます。膵臓炎や逆流性食道炎の薬で長く使われており、安全性が高いものです。タンパク質分解酵素阻害薬です。
ひとつはドイツの名門、ゲッティンゲン大学のICUからのものでこちら
https://journals.lww.com/ccejournal/Fulltext/2020/11000/Camostat_Mesylate_May_Reduce_Severity_of.16.aspx
3月から5月の間にICUに来た新型コロナ患者11名に対して治療を行った結果です。対象はヒドロキシクロロキン(HQ)で、これは何の効果もないことがわかってるので、無処置に相当するとしています。実際に、HQで処理した群では8日間で、ほぼ変化ありません。臓器不全の指標で見た場合のデータがこちら。
左がカモスタットで、右がHQ。カモスタットは6人のデータですが、4人が大きく下がって改善しており、2名は増えていて悪くなってるようです。HQではほぼ5名いずれも8日後でも同じようです。このほか、全般的に炎症の数値を下げているといってます。ただこちらは幅が大きく、示されたデータではよくわかりませんが。2020年12月22日火曜日
新型コロナのスパイク蛋白の変異N501Y 追記
英国でも猛威を振るっている新型コロナで新たにスパイク蛋白S1のN501Yの変異が見つかり、これが感染拡大と相関があるらしいと緊張が走っています。英国からの移動制限がEU等各国ではじまりました。
COVID19ウイルスもほかのRNAウイルスと同じで変異は絶えず発生してます、凶悪なものに変化することも希にあるでしょうが、ほとんどの変異は何にも変化なく、どちらかというと、消えたり、弱毒化する方向に向かいます。先に報告されたスパイク蛋白D614Gの変異では重症化は起こさないものの感染力が増すことが示されました。実験的に証明されたわけではないですが、このN501Yも細胞への結合を増して感染力の増強に関わるのかもしれません。
このS1蛋白は新型コロナが引き起こす妙な症状と関係するのかもしれません。S1がウイルスから剥がれて体内を回ることは知られていますが、これが血液脳関門もなぜか通過することがマウスの実験で報告され、海馬や嗅覚に入って炎症を起こすことが示されました。こちら。
https://www.nature.com/articles/s41593-020-00771-8
脳だけでなく、腎臓、肝臓にも影響するようなのでやっかいです。今回の変異がこのような作用を増強しないことを願うばかりです。おそらくこのウイルスの高い致死率はこういうウイルス蛋白自体の毒性も関係してるのでしょう。
米国退役軍人のデータでは、新型コロナはインフルエンザの5%倍くらい致死率が高いことが報告されました。こちらが原報
https://www.bmj.com/content/371/bmj.m4677
ニュースはこれ
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-12/wuis-cpa121520.php
ところで、先に書いた、オーストリアで鼻吸入型が感染予防の治験になってるカラギナンは、結局、以下のような組成で作って、喉スプレーにしてます。カラギナンは、湯煎で溶かす必要がありますが、それさえやればさくっと溶けます。お菓子作りと同じ。安全性の高いプロピオン酸ナトリウムを雑菌増殖防止に使い、ただ、これだけでは何の味もなくてまずいので、楽天で買ったミントの結晶をざくっと入れました。結晶はほとんど溶けないので、スプレー容器に残ってます。ミント、メントールにも抗菌作用があり、もともと炎症を抑えるものとして古来から使われてきたものですが、何よりも味が格段によくなりました。
イオタ-カラギナン 0.2 g/100 mL
プロピオン酸ナトリウム 0.5 g/100 mL
ミント結晶(適当)
あまり大量に入れておかないで、残りは冷凍して、雑菌が増えないようにしてます。滅菌などしてないので、ほんとにこの組成で雑菌が増えないか菌を入れて試してみたところ、大腸菌はほぼ増えず、持ち歩いてもいいかな。ただ、これがほんとに新型コロナの予防になるのかはわかりませんが、炎症を抑える作用はあるはず。前線での防御は大事です。誰か、これいる?
追記
このN501Yの変異は特に新しいものではなく、9月から報告されてました。ほんとに感染力が高まってるのかは、どこにもデータがなく、ジョンソンさんがいってるだけ、ということもないでしょうが、何ともわかりません。その割に世界中に規制が強化されて、日本でも英国からの入国が制限されるようになったようですが。
さらに追記
インフルエンザの5倍の致死率というのを間違って5%にしてしまってました。ひどい間違いです。ごめんなさい。5%ならいいのだけど。ところで、4月に有効ではないかという報道のあった吸入剤オルベスコ、残念ながら臨床試験の結果、新型コロナには効果ないそうです。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020122300862&g=soc
がっかり。折角入手しておいたのに。ただ、どうも効かないらしいというのは、うちの呼吸器の医師もいってましたが、やっぱり。この試験は数が少ないのですが、少なくともあんまり効くものではないことはわかります。
もっと追記
この変異が急速に拡大し、日本にも入ってきてるということがあきらかになり、新規入国禁止措置がとりあえず1月末まで急遽取られることになりました。極めて深刻な事態です。英国では新規感染の6割がこのN501Yだそうで、これがロックダウンしている英国での急増の要因でしょうか。この数値からすると、これを止めるのは相当難しい。各国において再び外出禁止するありません。それにしても、こんな中で、飲み会開いてる人間がいる事が信じられない。まったくひどい正常性バイアス。学ばない人間はいつでもいて、感染は彼らの無知が拍車をかけます。
もっともっと追記
スパイク蛋白のN501Yの変異とはいっても、この変異体には他にも変異が沢山含まれていて、69-70の欠失、144の欠失、N501Y、A570D、P681H、T716I、S982A、D1118H を持つものが、問題視されているそうです。N501Yだけならば、既に出てたので、なぜ今頃と思ってましたが。
2020年12月19日土曜日
本命登場
塩野義が新型コロナの蛋白を用いたワクチンの1/2相試験を開始しました。蛋白生産は時間がかかるので、これは仕方ありません。十分早いと思います。米国ではノバドックス社がすでに3相試験は英国で行われていて、塩野義の先にいってますが、自分の国では、なぜか製造体制の確立に時間がかかっているとかで、これから3相試験の申請だそうです。英国の方で先に結果が公表されるようです。
蛋白をワクチンとして用いるための技術は、これまで十分に長い時間をかけて検証され、安全性について確立しています。ワクチンなので、一定の副作用は必ず起こりますが、長期的な副作用はないはずで、抗体がちゃんとできて長く作用する事が確認さえできれば、安心して打てます。但し、普通は数年かけて試験を行います。ただ、蛋白ワクチンの副作用はほぼ急性で、長期的な、たとえばガンになるリスクの増加などは、まず考えられないので、3相の試験までやれば、だいたいはOKなはず。
塩野義はこれから試験を1年くらいかけて行います。来年末には使えるようになるのではと期待されます。ノバドックス社のが日本で使えるのか、わかりません。政府は買ってないのじゃないかな。
こういうのができてきてるので、そろそろRNAワクチンは却下してもいいのではという気もします。この数ヶ月間のラグを待てるかどうか。既に、どの戦争よりも被害者が多くなっている悲惨な米国の情況では、待てないとは思います。RNA自体、リポソームを用いる技術、いずれも、不確定の要素が多いのが心配です。とはいっても、それほどひどい副作用はおきないのではないかとは思いますが。感染リスクとどちらが高いのか、慎重な、難しい判断が必要となります。ともかく私は来年末まで塩野義(か他社の蛋白ワクチン)のを待つつもりです。
2020年12月12日土曜日
何をいっても無駄だと
何をいっても無駄だというあきらめ、そんな無力感、最初からのあきらめ。これが特に日本の若い人たちの間で広がってるような感じがします。子供でもわかるような明らかな矛盾があるのに、都合の悪いことは認めない、一般人はできなくても、それができる権限があるならば、堂々とやってしまう、それを恥ずかしいと思うことすらない、そんな政権をもつ社会にこれから出て行こうという若者に、希望を持てといわれても持てるわけもありません。
新型コロナの対応をめぐる政府のやり方を見ていると、特にこれを感じます。沈着冷静で知られるドイツのメルケル首相が、あれだけ強い言葉で大きな身振り手振りで全身で感情を込めて国民に年末の過ごし方を訴えかけているのに、この国では総理大臣が、ニコ動で、これから検討するところです、と知り合いの報道関係者にこやかに答えることしかしない。トップに立つべき人と、そうすべきでない人の違いがあまりに鮮明でした。もしかするとドイツの若者はメルケルさんのようにはなりたいと思っても、日本の若者は総理大臣ですらあれくらいしかなれない、と思ってしまうでしょう。トップは大事なのです。なってみないとわからないということもあります。
新型コロナの診療に関わる医師に聞くと、この病気は、これまでの診療の常識が通用せず恐ろしい、といいます。肺炎が治まりそろそろ退院かと思ってレントゲン撮ると肺がまた白くなってる、ひょっとしてどこかでミスったのではないかと青くなってカルテを見直すことも珍しくないとか。軽症だったのにいきなり亡くなってしまう例も珍しくありません。医師だけでなく、転職の自由の効く看護師が辞めていくのを責めることはできません。
新型コロナにかかった場合、本来の担当は呼吸器内科です。だけど呼吸器内科は大抵は人数が少ない科で、呼吸器内科の医師がいない病院も大きな市町村であってもよくあります。福島だといわき市とか。ただ、この病気では呼吸器内科医が診てもできることは大体決まっているので、各病院にプロトコールを送り、救急など各科でそれに沿って緊急対応しています。ほかの病気ではこんなことはありません。極めて異常な事態です。医師は、ベテランであるほど専門外のことをさせられていることに大きなストレスを感じています。
大災害になってる大阪。医療機関にコロナ対応にしてくれとお金を積んでます。これまで大阪では医療従事者の育成は軒並み削減していて、代わりに政治ゲームにうつつを抜かし、この時期に住民投票に膨大な費用と人力をつぎ込み、結果、自分たちの好きなようにはならなかったら、政治ができたことに満足した、というコメントを残しました。そんな為政者のいうことに医療機関が本気で従うわけもありません。ただその政治家は住民が選んだわけで、現在の医療危機、既に失われてしまった多くの人の命は自らの選択ではあります。
政府は、自分たちの支持基盤が観光業、飲食店業界なので、GO TOを取り下げないことに不思議はありません。それより恐ろしいのは、そう上からいわれればどんな情況でも政府のいう事に素直に従って、脳天気に観光地をめぐり忘年会をする国民の方です。確かに、いつの時代でも国はいつでもそういう何も考えない国民を育てようとしてきました。日本学術会議会員で政府に反対した委員には新任を拒否したのはそのわかりやすい例。だけど、多くの先生たちはそんな中でも、いつの時代でも、学生には自ら考え、判断して行動するようにと教育してきたはず。戦争もこうやってはじまったのかと、うすら寒い思いがします。
2020年12月4日金曜日
RNAワクチンの副作用に世界はどう耐えるか
英国を皮切りに、EU諸国ではファイザー社のRNAワクチンをまず医療従事者に投与されることになりました。フランスやオランダ、デンマークでは1月からとか。個人的にはこのワクチンは勘弁して、とは思いますが、やむをえない措置とは思います。欧米での多くの医療従事者の場合、リスクがあまりに高く、ワクチン接種によるデメリットよりも遙かに大きいのは明白です。
ただ、この接種がはじまると、抑えるという結果が明らかになるのは来年夏以降で、それまでは、おそらく副作用のみがマスコミを賑わすことになりそうです。どんなワクチンでもある程度の副作用はあります。どこまでが許容範囲か。
このRNAワクチン、BNT162b2、はCOVID-19スパイク蛋白をコードするmRNAを修飾して、LNP、リン脂質ナノ顆粒の中に封じ込めたものです。このLNPは薬物投与の新たな手法で、RNAのような不安定な(というよりは分解されやすい)ものに最適。RNA自体が、生体のものとはちょっと違うものに置き換えられていて、分解されにくくしているようです。おそらくファイザーのBNT162b2とモデルナの1273の違いは、顆粒の表面の処理、あるいはRNAの修飾の方法か配列の差によるのでしょう。
ワクチンが効いてる、という結果がでる夏くらいまで、短期的な副作用ばかりが出てくるので、ワクチンを受けないほうがいい、という風潮が出てきそうな気がします。私はあんまりリスクが高いとは思えないので当面は受けるつもりはないですが、リスクの高い人は受けたほうが良い。ずるいかもしれませんが、これは一人一人で判断するしかないところ。いまでも喫煙する人も大勢いますが、長期的な副作用は明白でかなり深刻でも、本人にはメリットがあるという判断でタバコ吸ってるわけで、このようなことはタバコほど重篤な被害でなくても、アルコールや、あるいはジャンクフードなど多くあります。自分で決めるしかない。
開発されてるワクチンの中では、従来の蛋白由来のもの以外ではこのRNAタイプが一番安全性が高く、深刻な副作用はおきにくいはずです。RNAをLNPを用いて投与するなんていうのは人類史上初の試みなので、想定外のことが長期的には起きる可能性もありますが、短期的には、普通のワクチンの副作用と同じくらいだろうというのがこれまでの小規模での結果のようです。来年中には短期的な副作用についてリスクの高い人を中心として大量の情報が集まるでしょう。一般に広がるのはそれからと思います。
ワクチンはともかくとして、簡単で安全な治療薬の開発を願います。なかなか治験の結果が出ないのは、今では効くのは全部投与してるので、特定の薬剤が効いたかどうかの判断がつかなくなってるから、と、呼吸器内科の先生がいってました。誰でも、人類のためよりは、自分だけは万全を期して治してもらいたいものです。
とはいっても、数が沢山集まれば、解析によって答えは出てくるでしょう。この前書いたカラギナンや、カモスタット等で細胞への侵入を防ぎ、症状が出てきたら、デキサメサゾンで症状のほうを抑える、という方法で、何とかしのぎたいところです。そういえば、よく似たオルベスコは、ちっとも効かん、と彼はぼやいてました。折角、オルベスコはウイルスの増殖を抑えるということもわかってたのに、がっかり。ま、タイミングかもしれませんが。
追記 2021/08/29
来年、つまり21年中にデータが出てそれから一般に広まるだろうと書きましたが、さらに加速されて夏までにはほぼ半数の国民がワクチンを受けるまでに広まりました。現実は想定を越えて進んでいます。デルタ株のような強力なのがこれから1年で蔓延するとは思いませんでしたが。その中で、モデルナのほうの副作用、異物混入が問題になってきています。この件については、次のブログの方に書きました。https://janushons.fc2.net/blog-entry-55.html 段々わかってきているような感じはします。