日本での食生活習慣として世界的にまともなところでよく取り上げられる懸念は放射能ではなく、お米に含まれる無機ヒ素。私はお米大好き人間なので、とても気になってきました。この前見たネットニュースで食品に含まれるアクリルアミドの問題点が指摘されていて、その中で、アクリルアミドはお米と比較するとリスクは遙かに低いという話がでていて、改めて調べてみました。講義のネタですが。
さすがに数年前に調べたときから大分進んでいます。お米は土壌中の無機ヒ素をよく取り込みます。まず基本的な数字として、標準的なお米に含まれる無機ヒ素の量は、お米(精米)一キロにして200μg、1合を150gとすると30μグラム。また、日本人はどれくらい無機ヒ素を摂っているかというのは研究があり、たとえば東大からでてる学位論文(小栗 朋子「日本人の無機ヒ素摂取量とその健康リスク」ではこのような分布をとるそうです。
無機ヒ素は発がんを起こすことが知られています。これはきれいな容量依存性があります。EFSAによると、1%の発がんリスクをあげるには一日あたり、私の(理想とする)体重70kgだと一日あたり21~560μg(95%信頼区間)の無機ヒ素をとる必要があります。
つまり、上の摂取量とこの1%発がんリスクの範囲がかぶるかというのを考えると、発がんリスクの分布が左右にひどく偏ったものでない限りは、日本人の摂取量で、発がんリスクを1%あげることは、おおざっぱにいって9割方なさそうに思えます。
これを気にして仮にお米をやめたとすると、他のものを主食代わりに摂ることになり、それが野菜でも肉でも、あるいはパンやパスタでも、健康リスク全体としてあげてしまうこともありえます。たとえば食パンで100gで1.3gの塩化ナトリウムなので、一日の塩分摂取量を結構おし上げます。
つまりコメかパンかということになると、無機ヒ素10~20μgか塩化ナトリウム1.3gか、どちらのリスクをとるかということになります。私にはご飯のほうが健康リスク全体を考えればシスクは低いようには思えます。とはいえ、欧米では子供にはお米は主食にしないよう、提言がなされてます。これは、2016年にFDA、米国食品医薬品庁によって出された検討結果にまとめられています。こちら
https://www.fda.gov/files/food/published/Arsenic-in-Rice-and-Rice-Products-Risk-Assessment-Report-PDF.pdf
長くて全部読めるものじゃないですが、ポイントはこの表あたりでしょうか。
無機ヒ素ではとくに膀胱ガンと肺がんが増えるようです。これは100万人で生涯に(上2行)、あるいは子供で(下2行)どれくらいこれらのガンになるかを示しています。コメの2つの種類、またヒ素を減らした炊き方(コメと水を1:6にして炊いてその水を捨てることで60%のヒ素を減らす炊き方)をした場合、どれくらいガンが減るかを予測したものです。そもそも後者の炊き方、私としてはやめてくれ、といいたいのですが、たしかにヒ素が減ればガンは1/3近くまで減るらしいことはわかります。
ただし、それよりも大事なことは、1万人に一人ガンになるくらいのリスクをどれくらい考慮すべきか。それによるベネフィット、あるいはコメを摂らない場合に代わりに摂る食物によるリスクも考慮されないといけません。
FDAでは、妊娠した女性、子供においては、コメだけを主食にとるのではなく、多くの食物を摂るようにという提言をしてます。概ね、欧米ではこういう提言がされてるようです。だけど、上のように考えたとき、どうしても自分たちの文化を優先するのはどの世界でも同じかと思ってしまいます。結論として、あんまり心配するようなことではない、というところに落ち着きそう。そういえば、私の父親はイネの研究者でしたが、元気だった頃、大分前にそんなこと言ってたのを思い出します。とはいえ、イネの品種改良では、無機ヒ素の取り込みを減らした品種を作ってほしいものです。
さすがに数年前に調べたときから大分進んでいます。お米は土壌中の無機ヒ素をよく取り込みます。まず基本的な数字として、標準的なお米に含まれる無機ヒ素の量は、お米(精米)一キロにして200μg、1合を150gとすると30μグラム。また、日本人はどれくらい無機ヒ素を摂っているかというのは研究があり、たとえば東大からでてる学位論文(小栗 朋子「日本人の無機ヒ素摂取量とその健康リスク」ではこのような分布をとるそうです。
無機ヒ素は発がんを起こすことが知られています。これはきれいな容量依存性があります。EFSAによると、1%の発がんリスクをあげるには一日あたり、私の(理想とする)体重70kgだと一日あたり21~560μg(95%信頼区間)の無機ヒ素をとる必要があります。
つまり、上の摂取量とこの1%発がんリスクの範囲がかぶるかというのを考えると、発がんリスクの分布が左右にひどく偏ったものでない限りは、日本人の摂取量で、発がんリスクを1%あげることは、おおざっぱにいって9割方なさそうに思えます。
これを気にして仮にお米をやめたとすると、他のものを主食代わりに摂ることになり、それが野菜でも肉でも、あるいはパンやパスタでも、健康リスク全体としてあげてしまうこともありえます。たとえば食パンで100gで1.3gの塩化ナトリウムなので、一日の塩分摂取量を結構おし上げます。
つまりコメかパンかということになると、無機ヒ素10~20μgか塩化ナトリウム1.3gか、どちらのリスクをとるかということになります。私にはご飯のほうが健康リスク全体を考えればシスクは低いようには思えます。とはいえ、欧米では子供にはお米は主食にしないよう、提言がなされてます。これは、2016年にFDA、米国食品医薬品庁によって出された検討結果にまとめられています。こちら
https://www.fda.gov/files/food/published/Arsenic-in-Rice-and-Rice-Products-Risk-Assessment-Report-PDF.pdf
長くて全部読めるものじゃないですが、ポイントはこの表あたりでしょうか。
無機ヒ素ではとくに膀胱ガンと肺がんが増えるようです。これは100万人で生涯に(上2行)、あるいは子供で(下2行)どれくらいこれらのガンになるかを示しています。コメの2つの種類、またヒ素を減らした炊き方(コメと水を1:6にして炊いてその水を捨てることで60%のヒ素を減らす炊き方)をした場合、どれくらいガンが減るかを予測したものです。そもそも後者の炊き方、私としてはやめてくれ、といいたいのですが、たしかにヒ素が減ればガンは1/3近くまで減るらしいことはわかります。
ただし、それよりも大事なことは、1万人に一人ガンになるくらいのリスクをどれくらい考慮すべきか。それによるベネフィット、あるいはコメを摂らない場合に代わりに摂る食物によるリスクも考慮されないといけません。
FDAでは、妊娠した女性、子供においては、コメだけを主食にとるのではなく、多くの食物を摂るようにという提言をしてます。概ね、欧米ではこういう提言がされてるようです。だけど、上のように考えたとき、どうしても自分たちの文化を優先するのはどの世界でも同じかと思ってしまいます。結論として、あんまり心配するようなことではない、というところに落ち着きそう。そういえば、私の父親はイネの研究者でしたが、元気だった頃、大分前にそんなこと言ってたのを思い出します。とはいえ、イネの品種改良では、無機ヒ素の取り込みを減らした品種を作ってほしいものです。