前にアンジオテンシン受容体拮抗薬系の高血圧の薬、オルメサルタン、ニューロタンなどが、当初は、COVID受容体を増やす可能性が指摘されて、感染リスクが上がるかもしれない、といわれました。だけど、そんなことはないという速報が出てましたが、今回、まだ査読はすんでませんがデータが公開されました。https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.04.24.20077875v1
ARBというのがアンジオテンシン受容体拮抗薬です。これは610人の感染者のうちで、8.69%がARBを飲んでいた、ということで、これは全体の割合が15.38%である事からすると、単純にいえば、感染しにくい、ように見えます。逆にカルシウムチャネル阻害薬、アムロジピンなどですが、これはそのしたのCCBで、その数値が逆転していて、感染しやすいのか??というデータにはなってます。
他に影響を与えるファクターもあるでしょうし、これくらいの違いで一概には言えませんが、少なくとも、オルメサルタンは飲んでてもいいらしい、ということはわかります。
また、もう一つ公表された注目の研究、レムデシビルの効果についてですが、やはりかつて言われたほど有効ではないようですが、回復までの期間を飲まなかったときの15日から11日に縮め、効いてはいます。ただ死亡率には差はなかったそうです。こちらは米国の国立アレルギー感染症研究所(NIAID)によるphaseIIIの試験で、おそらくこれまでで一番信用おけるもの。
これで米国政府はこれを標準薬にしようといってます。一方。中国での臨床試験では、患者が集まらず途中で中止になったのですが、その経過報告でも死亡率に差はなかったという話。ギリアド社はこれを承認させたい、米国としても同じ、と考えると、ある程度は効くだろうけど、当初期待したほどではない、というところと思えます。なお、副作用としては、これにはアビガンのような催奇性もふくめてほとんどでてきてません。ただ、精子が減少するという結果はたしかギリアドから出ています。
理屈として、レムデシビルは新型コロナの親戚のMARSのウイルスでは、そのRNA複製酵素にATPよりもよく取り込まれることが示されていて(https://www.jbc.org/content/early/2020/02/24/jbc.AC120.013056)、効いてもおかしくはないです。
ただ、死亡率が変わらないというのはがっかり。そういえば、あまり話題になってないのですが、ガスター10と同じ有効成分を持つ薬を飲んでる人では死亡率は半減するというデータがあります。これは6212人のデータで、サイエンス誌に報告されてます。
https://www.sciencemag.org/news/2020/04/new-york-clinical-trial-quietly-tests-heartburn-remedy-against-coronavirus
割と信頼はおけそうです。飲んでると死亡率は約14% で飲まなかった人は別の胸焼け薬オメプラゾールを飲んだ人の死亡率27%よりも低いという話で(ただし有意差はまだないらしい)、これをうけて、NYではガスター10の有効成分ファモチジンを静注しようという試験がはじまっているそうです。ファモチジンは実際にウイルスと結合するらしい。ただ、この話、コントロールとして用いた集団がオメプラゾールを飲んだ人で、この死亡率がちょっと高すぎるのでは、という気もします。COVIDでの死亡率は中国でもここまで高くないので、この話はよくわかりません。