前にも書いた、緑内障にニコチンアミドが有効か、という話、ずっと行っていたオーストラリアのメルボルンにあるCentre for Eye Research Australiaでの臨床試験の短期間の結果が夏に出ていました。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/ceo.13818
ニュースはこちら。
https://medicalxpress.com/news/2020-07-vitamin-b3-glaucoma-patients-clinical.html
49名の緑内障患者を2つに分けて、6週間のセットを4回、偽薬かニコチンアミド、入れ替えて投与し、各セットの後で診察して数値を取ってます。I群では偽薬を2セット続けて、その後、ニコチンアミドを0.5g錠剤を一日三回、計1.5gを6週間、ついで1.5g錠剤を朝晩に飲む3gのセットを6週間行いました。これで、同じ人で、ニコチンアミドが偽薬よりも有効だったかを知る事ができます。
評価に使った数値は光に対する網膜の応答で、少々、専門的ですが、どれくらい見えてるかの定量化になるのかな。
AとBでは異なる網膜の活動を示していて、最初のニコチンアミド1.5g/dayよりも次の6週の3g/dayのほうがより高い数値を示してます。CDはまとめで、1.5g/dayと3g/dayをそれぞれ6週間投与すると平均12.6%の改善が見られています。視野については、ニコチンアミド投与された27%の人が改善され、これは偽薬では4%の低下だったとのこと。
これは眼圧とは関係がなく、ニコチンアミド投与しても眼圧は変わらなかったそうです。つまり、他のところで効いていて、たぶん網膜神経節細胞での代謝の変化だろうと考えてます。他に言いようがないでしょうが。
これは12週という短い時間での検討なので、もっと長い時間でどうかというのは、現在進行中だそうです。量については、3Gというのは経験的なものといってて、長期的にはまた変わってくるかもしれませんが、ニコチンアミドはこの研究でもほとんど副作用が出てないので、緑内障で使わない手はないのかもしれません。ただ、長期的に使うと悪くなるという可能性も0ではないので、やはり、待てる人は待ったほうが良いでしょうか。ともかく、緑内障の有力な治療となりそうな感じはします。